2006. 5. 3
山こじ通信vol.12
甲武信ヶ岳2475m



千曲川源流を訪ねて

  甲武信ヶ岳、深田氏はコブシという歯切れの良さ、
             何か颯爽とした山を思わせるような名前・・・と紹介している。 

 この山の頂に落ちた一滴の雨が、信州では千曲川・信濃川という日本一の大河となり
日本海へ、他の一滴は荒川に落ちて大東京を貫流し東京湾に注ぐ、更に次の一滴は笛
吹川に落ちて富士川となり太平洋のものとなる。
 まさに三方向の分水嶺である。 そして三県(山梨・埼玉・長野)の県境だ。

 さぁ〜、やってきました夏休み?じゃなくて黄金週間。
山こじはメジャーな山、百名山の一つ甲武信ヶ岳に登ってきました。

 まずは前日の2日に渋滞情報を調べると関越道には渋滞マークがない! いまだ!!
(22:00)に自宅を出発! 一路、所沢ICヘ! 
     が〜ん!!  渋滞8kmだ。
 パソコンめ〜、嘘をついたな〜。 
仕方ないので我慢して走っていると各インター毎に「○○q渋滞」と何時までたっても渋滞はな
くならない。 佐久ICについたのが(00:00)。
毛木平の駐車場には(02:00)。じつに4時間もかかった。 やっと仮眠できるぞ〜。 

 
                  冬に逆戻り? 信州はまだ寒い

寒さで目が覚めると(05:00)だ。 気温は−5℃くらいか? 車に霜が降りている。
春山登山のつもりだが、毛木平(1460m)の標高だと関東の冬と変らない。 
パンをかじっただけで(06:00)登山開始。

          
     三峰山大権現                  大山祗神社
      右ハ山道 左ハ江戸道

 20分ほどで大山祗神社〈おおやまずみ〉(1560m)、40分で慰霊碑(1620m)を横に見る。
 緩やかな登りを景色を楽しみながら歩いていると、あちらこちらに雪が見え始めた。 
縦走してきたらしい青年とすれ違う。 彼はアイゼンを着用していた。
 今度は年配のご婦人と出会うやいなや目の前で、すってんころりん!!
 
 山こじ  「大丈夫ですか?」
 
 ご婦人  「私、アイゼン持っていないからあきらめて下りるところなんです。」
 
 なるほど、そろそろ着けどきか?  ここで山こじもアイゼンを着けることにする。
ひさびさのアイゼン歩行もサクッサクッと小気味よい。
道はだんだんと白いものが多くなり、やがて一面の銀世界となった。
 
     沢を右に行ったり左に行ったり


                            こんな所を歩きます

今日の山こじは休憩をなかなか取らないで歩いている。 
雪道のアイゼン歩行が山こじの無茶な歩幅を矯正してくれているのか息もあがらないし、気温
のせいか汗もほとんど掻かず、途中で写真を撮るくらいで千曲川源流(2175m)まで来てしま
った。(09:20)



ここで小休止し、誰もいない大自然を満喫できた。
再び歩き出すと、いよいよ雪が深くなり踏み抜いた足跡が70〜80cmになっている。
  いやぁ〜、凍っていてよかった! 
もう少し暖かくなっていたらラッセルするようだった。
急登をあえいで頑張ると縦走路の分岐(2350m)だ。(10:00) 



これを右にとれば去年の国師ガ岳へ通じるが、マイカー登山山こじには出来ない相談で
ある。
(経験的にも山の神が許さない? どっちの? 両方!?)
 
分岐を左に取り、最後のガレ場をひと踏ん張りして


     
        「やったぁ〜頂上だ!」 (10:30)




じつに4時間半もの間、腹ペコの山こじは歩き通した。 しかしここは百名山
山こじは、今回誰一人追い抜くことも追い越されることもなく大自然を独り占めして頂上までき
たのだが、反対の甲武信小屋から来た人たちで、すぐに山頂はいっぱいになってしまった。 
   
   これでは昼飯どころではない! 

仕方なく写真を撮っただけで下山することにした。 (11:00) 
  
      富士はやっぱりいい                   八ヶ岳も最高!

 今度は登ってくる人達と多数すれちがった。 
すれ違い様に道の情報を聞かれたが、中には親子連れで・・・                   
                           
 親  「9時から3時間半も歩いてきたけど水源地標(2175m)までで
              いいんですけど、あとどれくらいで着きますか?」
 この時すでにナメ滝付近(1783m)。 (12:30)


                ナメ滝 (毛木平〜山頂のほぼ中間地点)

ヤマケイのガイドによると毛木平〜ナメ滝間(1:45)だがこの家族のペースは(3:30).
同じく、ナメ滝〜水源地標(1:00)だがこの家族だと・・・・
 
 山こじ 「3時間半も歩いてこの位置だとまだ2時間以上はかかるでしょう。
       (足もとを見ると・・・)
      それにその靴ではこの先雪が深くなるので中に滲みて無理でしょう。
                  適当な場所でお弁当にしたらいかがですか。」

 山こじ少し腹が立った!(怒)   
 
 ガイドブックの時間は、あくまで参考であってそのタイムで到着できる保証ではない! 
ましてやその家族は親子4人で一番小さい子は小学校の低学年に見えた。 
それに靴がスニーカーより軽いランニングシューズみたいだった。 
これでは連れて行かされる子供がかわいそうだ。  
 遭難と言う言葉は使いたくないが、このような予備軍がいくらでもいる現実を考えなけ
ればいけない。 
雑誌や旅行ガイド(山岳ガイドではない)の編集者はもっと注意を促さないといけない!
 
 山こじも最初は沢を下りたり、下に行けばいいだろうと直下降したりして三蔵に注意を
受け、山頂が無理と判断したなら撤退を決断する勇気を教えてもらった。
 山を歩くという行為は単純で気軽にできると思われがちだ。
自然の中へ奥深くはいったら体一つで大自然の驚異に立ち向かう覚悟がいる。
 どんなハードな競技もコートやグラウンドでやっている限りぶっ倒れるまでやっても何も
起こらないが、山は違う! 命を落とす。冷静な判断を下す為には余力も必要なのだ。
 
 我々は山を愛しているのだ。
   何が起きても絶対に山のせいにしてはいけない!!

 そうこうして、腹ペコの山こじは車に到着!(13:30)
早速、車を走らせラーメン屋さんを探す。 周りは最高の景色だ。 以前に自転車で来たとき
は雨上がりで八ヶ岳などは見えなかったが、今日は最高だ!
 




しかぁ〜〜〜し、ここは川上村。 なぁ〜んにもない!
                  (地元の皆さんにとっても失礼)

 とうとう信州峠を越えてしまった。 下って行くと、やっとみつけた「市営みずがきそば」
本当はラーメン・チャーハン・餃子にビールのフルコース(?)が希望だったが仕方がない。
大盛りのざるそばとビールで登頂祝いを一人でやった。
 休憩後、明日からの登山口の瑞牆山荘へむかう。 今日から車中泊だ。
今夜は、自炊してラーメンを作りパンとさんま缶でホットウイスキィーと日本酒を飲み、さっ
さと寝ることにした。
 (さっさとじゃない,充分飲んでるってば!!)

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