2006. 5. 4
山こじ通信vol.13
金峰山2599m



「金峰山は実に立派な山だ、独り秩父山脈中に嶄然頭角を抜いて居る許りでなく、日本の山
の中でも第二流を下る山ではない。世に男の中の男を称えて裸百貫という諺があるが、金峰
山も何処へ放り出しても百貫の貫禄を具えた山の中の山である」 
木暮理太郎氏は『山の憶い出』の中で最大級の賛辞をこの山におくっている。

 夜中に目が覚めた。 まだ時刻は(00:00)くらいだ。 これでは早過ぎると再び寝る。
しかし、なかなか寝付けない。 
それでもいつのまにか再び眠りにつき今度起きたのは(04:30)くらいだ。 
 さぁ〜、朝飯でも作るか〜、とやる事は簡単。お湯を沸かすだけ!
 今朝のメニューはラーメン・白ご飯・いわし缶だ。 
朝はしっかり食べないとシャリバテ(昔はハンガーノックといったが・・・)するので昼は軽めでも
朝はやっぱりご飯粒がいちばん!
                 (山こじは軽くするためにパンを今回はザックに入れている)
 今日の行程はガイドブックのタイムでも4時間30分の長い上りだ。
そういえば、昨日、金峰山に登ってきた人がへばって座り込んでいたっけ。 
山こじが食事をしていると、ちらほら出発する人が出始めた。 
相変わらず準備が遅い山こじは手間取り、(06:00)の出発となった。
 登山口(瑞牆山荘1515m)平塚から来られた50代半ばの20年のベテランの方と一緒にな
る。 二言三言交わし、結局山頂まで一緒だった。 
朝は寒かったのでフリースを着ていたのだが、結局30分もすると暑くなり里宮神社でTシャツ
一枚になる。 その間もベテラン氏は先に行ってしまうのですぐに追いかける。 
  

すぐに富士見平小屋(1810m)に着く。しかし横目で見ただけで通過。(06:55) 
  
           富士見平小屋                 大日小屋

次に大日小屋(2040m)を通過。(07:40)しばらくすると皆がアイゼンを装着している。 ここで
やっとアイゼン休憩(?)
 ベテラン氏曰く「山は息が弾まない程度のペースがいちばん良いんですよ」。 
なるほど、いつもの山こじだったら写真を理由にたとえ一分でも休憩してしまうが、今日はベテ
ラン氏のペースでほとんど休まずに2時間近くも歩いている。 
アイゼンを装着していくらもしないうちにお助けロープのある岩場があった。 12本爪のアイ
ゼンでは前爪が邪魔をして登りにくそうだ。 山こじは6本爪の軽アイゼンなのでつま先が使え
るので難なく通過できた。
続いて大日岩(2180m)、もちろん素通り。
 やがて砂払ノ頭(2317m)に到着。(09:10) 
ここで初めて「大休止をしよう!」ベテラン氏が言ってくれた。
 山こじの気持ちは「♪♪♪(ランランラン)」だ。
ベテラン氏から羊羹をいただきほっとする。 10分後、出発だ。(たったの10分!)
  

 ここで失敗をやらかす。 
我々は途中で道を間違えて稜線ではなく金峰山小屋へ向かってしまった。 我々の前を歩いて
いる年配の夫婦も間違えたのに気がついたが雪面のトレースがまぶしいので、つい大きい方
のトレースに従ってしまった訳だ。
 前方に小屋が見え始め、小屋から先は山頂へ一気に上る道となる。 
つづら折れの上のほうで渋滞しているほど人が多い。 さすが百名山!? 人気がある。
道を譲ったり譲られたりで10:15に頂上に着く。(2599m)


早速、山こじは写真をバシバシ撮り始める。
10時半頃、ベテラン氏は食事を終えたらしく下山するみたいだ。
                                                      (たった15分で山頂を満喫?) 
歩き方のお礼を述べ別行動をとることになった。
一期一会とはよく言ったもので二度と会えないかもしれないと思うと別れ難いものだ。
 
 ここからは写真家の山こじ(?)になり最高の景色をカメラに収めた。
  
       やっぱ富士でしょう              金峰山のシンボル・五丈石

山こじ達が着いた時には、五丈石の上には5〜6人が登っていたが写真や食事をしてる間
に誰もいなくなってしまった。 
山こじちょっと色気がでて、「登ってみたいな〜」

でも高所恐怖症山こじは自信がない! 
横にまわったり、途中で悩んであきらめる人を見ながら研究していると・・・。
そばにいた年配のご夫婦の会話・・・
 
  奥方 「あんた、登らないの?」
 
  旦那 「もう腕力が落ちてしまっているから無理だよ。もう少し若い頃だったらな〜」

 山こじあせる! 今回を逃すと二度目は無い! 
  山こじも既に中年だ!やばい!
  (ふ〜ん、自覚しているんだ〜 by新妻ちゃん)
 
 山こじ 「あの〜、皆さんはどういうルートで登られていたか見てませんでしたか?」
 
 旦那 「みんな、左の方が登り易いと思っているけど、
                    登った人はみんな中央突破だったよ。」
 山こじ 「???」
 
 奥方 「登った人は真ん中をするするとあっという間に登ったわよ。
       あなた、登るんだったら、ほらっあそこいる人! 
                 あの人がさっき登った人だから聞いてみたら?」 

 山こじ 「フムフム判りました。」
 
 山こじ、早速その人にレクチャーしてもらいました。 
ここでは言えませんが、聞いてみると「なぁ〜んだ」と思われ怪我でもされたら困るからです。
 クライマー山こじ誕生!? (オイオイ、写真家の次はクライマーかい)
お弁当を食べている50人くらいのギャラリーの視線を浴びトライした。
なるほど、皆が悩むのはここか?と20秒もあれば頂上の石の2段下まで登れた。
ここまでは簡単でご婦人でも登れます。 
ここからはレクチャーを聞いていないと、ちょっと分からないでしょう。 
山こじもここからは慎重に手がかりを探して登った。 頂上に着くと皆さんの拍手をもらい、ちょ
っと嬉しかったのだが、やっぱり高所恐怖症なのでとってもびびってしまった。
落ち着いているフリをしてゆっくりと下を覗きこんだり昼寝の格好をしたり演技をしたが・・・
 だめっ! もう無理! 
 背中がゾクゾクして、寒気がしてきた!!
登れたのだから降りるのは簡単だと思うでしょ? じつは降りるのがいちばん怖かった!
 五丈石(一丈=十尺=約3メートル)というのだから約15m位の高さだ。 
  びびるには充分過ぎる高度である!! 
ビルの5階位もあってはバンジーなんてふざけている場合ではない。
ましてや好き勝手に登って怪我でもしたら大バカ者だ!
                              (えっ、バカじゃなかったっけ?)
 大勢のギャラリーの視線を感じつつ、やっと2段目に降りた時には、いままで細くなっていた血
管に血液が一気に通ってきた感じがしてほっとした。       
 降りてからはやっと生きた心地になって落ち着いて写真を撮り、ザックを整理しつつビールで
ひとり乾杯!
 
持ってきてよかった♪  頂上のビールは最高!! 
                                   (やっぱりね〜)
たったの5分間だったけどヒーローになれた。(でも良い子はマネをしないように!)
下りにかかってすぐに品川からきた若者とシャッターをお互いに押してもらったのをきっかけに
一緒に歩くことになった。(12:00)

彼もまた12本爪で最初は小気味良い音をたて歩いていたのだが、ちょっと岩場があるとやはり
辛いようだった。 今日は6本爪の軽アイゼンが正解みたいだ。 
 大は小を兼ねない、小は大を兼ねない。 むずかしな〜。
大日岩(13:00)、瑞牆山荘(15:00)と下りはゆっくりと歩き楽しかった。


さすがに今日は二日目とあって風呂に入りたい。 7km先の増富の湯に向かう。汗を流し疲
れが癒されるとむしょうにビールが飲みたくなってきて今度は10q以上も山を下りやっと店
を見つけ買う事ができた。(やれやれ)
 車の中で今日も、ひとり乾杯で食事をする。 今日は五目御飯・豚汁・ビール1リットルだ。
明日は最終日だ。 ひとりの夜を満喫(?)して眠りについた。
  
         
         自炊風景                     主食は酒?

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