2009. 4. 11〜12
山こじ通信vol.31
残雪の赤岳
(地蔵尾根〜文三郎尾根)



山行き行程(1泊2日 2009.4.11〜12)
第一日目(予定歩行時間3時間00分) 撮影+小休止3時間03分

07:52・・・・・・・・・・・・・08:40〜09:08・・・・・・・10:00〜10:20・・・・・・・・・・・・11:43
美濃戸口 (1:00) 美濃戸 (0:50) 堰堤広場 (1:10) 赤岳鉱泉(泊)
1490m・・・・(0:48)・・1690m・・(0:52)・・・・・・・・・・・(1:23)・・・・2220m
第二日目(予定歩行時間9時間05分) 撮影+小休止7時間17分

06:30・・・・・・・・・・・・・・・・06:54・・・・・・・・・・・・・・・08:00・・・・・・・・・・・・・08:50〜09:35
赤岳鉱泉 (0:35) 行者小屋 (1:25) 地蔵の頭 (0:45) 赤岳頂上 (1:20)
2220m・・・・(0:24)・・・2350m・・・(1:06)・・・2700m・・・(0:50)・・・2899m・・・(0:45)

・・10:10・・・・・・・・・・・・10:40〜11:50・・・・・・・・・・12:22・・・・・・・・・・・・・・・12:55・・・・・・・・・・・・・・13:32
行者小屋 (0:40) 赤岳鉱泉 (1:00) 堰堤広場 (0:30) 美濃戸 (0:50) 美濃戸口
・・2350m・・(0:30)・・・2220m・・・(0:32)・・・・・・・・・・・(0:33)・・1690m・・(0:37)・・・1490m


今年もようやく年度末の仕事のドタバタが終え、山こじも登山解禁を迎えた。
何しろ、半年以上も山歩きをしていないので、どの程度歩けるのかが心配だった。
仕事の時使う筋肉と山歩きで使う筋肉は全然違う。これは新妻ちゃんと行った買出しで、米袋
を(5`×2袋)を背負って、デパート内を、ちょっと歩き回っただけで疲れてしまった事実が証
明している。
山こじの場合、山の経験値の上昇より、
  加齢による体力の低下の方が問題なのだ。
(悲しい現実だぁ〜)
それでも、「残雪の山々を拝みに何処か行きたい」という気持ちが強くて、歩き慣れた
ヶ岳を訪問してみた。 春山の八ヶ岳は一昨年に訪問しているが、中山展望台まで登っただ
けで、三蔵「何処にも登頂していないじゃないか!」と苦言を言われたので、(とって
も悔しかった!)今回は是非とも赤岳に登頂しなければと思った。
 
 雪山としての八ヶ岳は入門コースとして定番だが、時として吹雪かれたりするので、
「アルミのわかん」、「バラクラバ(いわゆる正ちゃん帽)」、「冬用の手袋」
を新調して万全を期した。
1週間前に「やっぱり山が好き」のsudoさん「南峰リッジからの赤岳」を登られて年末
より雪が多いとの情報を得た。 地蔵尾根から文三郎尾根を辿るコースは初級とは言え、
少々心配である。

4月11日の3時30分に自宅を出発。 今回は高速料金が1000円になって始めての遠出である。
深夜(早朝?)なので、渋滞もなく快適なドライブで八ヶ岳Pに到着。05:40

 一息入れてから美濃戸口に向かう。 一昨年来た時には雪がチラホラ見えていたが今年は
全く気配も無い。
駐車料金を払う時に雪の情報を得ようと訪ねてみたら、・・・

「わかんも準備してきたのですが、雪の状態はどうでしょうか?」

「わかんを使える所があれば良いのですが、今年はさっぱりです。」

せっかく用意したのだが必要無いみたいなので、わかんは車に置いて行く事にした。
桜の開花以降、春の陽気というより暑いとしか言えない天気が続いていたせいか?
美濃戸へ向かう林道も埃が立つほど乾いている。
まるで夏山みたいな気温の中、美濃戸山荘に到着。08:40



汗だくになり、1枚脱いで一息入れる。09:08
北沢を歩きだしてすぐに雪を見た。 日影になる部分はまだ雪が残っている。 アイゼンを着
けるほどではないので、気をつけて先を急ぐ。 日影部分の氷結以外は埃が立つような状態が
続き、堰堤広場に到着。10:00
ここで、朝食に買っておいたサンドイッチをほお張り大休止を摂った。10:20
堰堤広場には、林道を歩いている時に追い抜いて行った、鉱泉小屋のジムニーが止まって
いた。

 

小屋番さんも、ここからは歩荷を繰り返しているのだろう、ご苦労さんである。
山道に入ると、さすがに雪が多くなった。 木道みたいになっている所でアイゼンを着ける。 こ
こまで歩いて来られるほど今年は雪が少ない。 途中、一昨年着た時に写真を撮った場所で、
さらに雪の少なさを実感する。 樹林帯をしばらく歩き、赤岳鉱泉名物のアイスキャンディ
目に入ってきた。 赤岳鉱泉到着。11:43
今日の行程はここで終了だ。早速受け付けを済まし、テント設営をする。

 
赤岳鉱泉特設宴会場?
雪の状態が「もなか雪」なので、なかなか良い場所が見つからない。 後々の事を考え、トイレ
の横の高台を整地してテント場にした。 中山乗越に向かう人が横を通るので、寝過す事もな
いだろう。 
テントの設営を終え、350mlのビール2本とザックに忍ばせてきたウイスキーのポケット瓶で、
久々に山の中での一人宴会を楽しみ、夕食はアルファ米の五目御飯を食べた。

一昨年寒い思いをしただけに今年は「エアマット」「ダウンの寝袋(モンベル♯1)」と、抜かり
なく用意してきた。 おかげでぐっすり眠る事が出来た。
目が覚めたのは11:30、もう一度眠りなおして02:30。 あまりにも早く寝た為に夜明けには程
遠い時間に目が覚めてしまった。 ラジオを聴きながら、コーヒーをすすってマッタリとした時間
を過ごし夜明けを待った。
朝食にはラーメンを食べ、テルモスにお湯を詰めて羊羹とカロリーメイトを行動食とし、サブザ
ックを背負って出発。06:30
中山乗越06:47、行者小屋着06:54。休まずに地蔵尾根に取り付く。
樹林帯で休憩中の単独行の女性を抜き、夏道の階段が雪で埋まっている所をやり過ごす。

 
地蔵尾根
樹林帯を抜けるといよいよ勾配が増してきて、ピッケルを突きアイゼンを効かせながらの登攀
になる。 稜線の近くではピックを打ち込みながらの緊張のトラバースを強いられる。
ようやく、風の殆ど無い稜線に登りつき、そこには見覚えのある、お地蔵様が鎮座していた。
地蔵の頭到着08:00。


地蔵の頭

地蔵尾根を振り返る
今日は天候に恵まれ北・中央・南アルプスがはっきり見える。素晴らしい景色に見とれながら
稜線を伝い、小屋明け前の赤岳展望荘の横を通過。 

昔は赤岳石室と呼ばれ、吹雪かれた時などはとても重要な非難小屋だ。 
「アルプス三大北壁登攀」の今井道子氏や「山靴の音」の著者の芳野満彦氏らが吹雪かれて
沈殿を余儀なくされた石室である。 


赤岳山頂
今日は無風に近い最高の登頂日和である。向かいの阿弥陀岳には北稜ルートを登攀してい
るパーティーが見える。 登攀ルートとしては容易な部類らしいが、山こじにはまだまだ手がで
ない領域である。
先ほど頂上にいた3人の登山者がコンテニュアスビレイで繋がって下りてきた。
やり過ごす間に景色を堪能する。 足元は赤岳西壁主稜でスッパリと切れ落ちている。
すごい高度感だ。 地蔵尾根の樹林帯で追い越した女性と思われる人影が地蔵の頭に迫っ
ているのが見える。 
「頑張れもう少しだ!」と心の中で叫ぶ。 
3人をやり過ごし、先ずは北峰に到着。08:50 雪に半分埋もれた頂上小屋が懐かしい。 
続いて南峰に向かう。 同じく一昨年の秋に権現岳に来た時には、視界がまったく利かず何も
見えなかったが、今日の赤岳権現岳は指呼の間だ。 今度は赤岳からキレットを越えて
現岳に行ってみたい。 
登攀と絶景に夢中で、ここまで飲まず食わずだったのだが、羊羹とテルモスのお湯でようやく
一息入れる。

 

小休止を終え、いよいよ文三郎尾根の下りだ。09:35
いきなりの岩稜地帯の下降で緊張を強いられる。 
落ちたら? 滑ったら? つまづいたら?
もちろん即アウト!である!


岩稜地帯核心部

 物凄い緊張の中、「何でこんな所に来たんだろ?」と後悔の念が浮かんで来るが、今
はとにかく必死になって下降するしかない。
やっとの事で岩稜地帯を通過し、最後に45度の雪壁のトラバースで危険地帯を終えた。
やり終えた喜び安堵の気持ちでほっとしていると、上りの登山者とすれ違う。合計10名程の登
山者とすれ違ったが、ガイドに導かれて登っている年配の女性も何名かいた。
恐るべし「おばさんパワー」である。 
日本人の登山者の7〜8割が中高年登山者なのが納得できる。 単純に中高年の登山事故が
多いのではなく、8:2で中高年者が多いのだから自然事故比率も上がるのだ。
(もちろん、運動神経・体力の低下なども関係するが・・・) 



夏道のメッシュの階段まで下りて来るとsudoさんの言っていた通り、殆どが雪で埋まってい
た。アイゼンを引っ掛けないように最後まで気を抜けない。 
大汗を掻き樹林帯を抜け、行者小屋に到着。10:10 
休まず中山乗越を抜けテントに戻った。10:40
あまりの暑さに、テントの撤収をしながらビールで一人乾杯!(350ml×2本)
登頂の満足感を得て鉱泉小屋を出発。11:50
堰堤広場着。12:22 ここでアイゼンを外す。
美濃戸着。12:55 美濃戸口着13:32 13:35車の人となる。 
渋滞が笹子トンネル手前で20`、小仏トンネル手前で17`だった。
自宅到着17:45。 


南アルプス方面

中央アルプス方面

北アルプス方面

最高の景色でした


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