2010.11.13
   山こじ通信 vol.36
     
多摩川の最初の一滴を訪ねて・・・笠取山〜唐松尾山縦走



                    
                                                  多摩川138qの長い旅の起点

         山行き行程(2010.11.13 
 予定歩行時間(8時間05分) 撮影+小休止6時間42分

…06:30・・・・・・・・・・・・・・・・07:31・・・・・・・・・・・07:45〜08:02・・・・・・・・・・・08:12・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・08:37・・・・・・・・・・・08:56・・・・・・・・・・・・・・・・10:42・・・・・・・・・・・・・・・11:56・・・・・・・・・・・・・12:13・・・・・・・・・・・・・・13:29
 作場平 (1:35) ヤブ沢峠 (25) 笠取小屋 (15) 分岐 (雁峠 往復25) 分岐 (45) 笠取山 (2:00) 唐松尾山 (50) 山ノ神土 (20) 将監峠 (1:30) 三ノ瀬・・・
・・・1310m…(1:01)・・・1690m…(14)…1770m……(10)………………(25)…………………(19)…1953m…(1:46)…2109m……(1:14)…………(17)…1800m…(1:16)
  



 今年の夏は泊りがけの山行が出来なかったので、せめて来年の為にもアンチエイジングの為にも足トレが必要と判断し、高速渋滞も嫌なので近場の奥多摩の山に行ってきた。
深夜の1時30分に起きて準備をし、2時に自宅を出発。 一般道を走るので青梅街道の古里のコンビニでサンドイッチを購入し、青梅街道をひた走る。
街灯の無い山岳道路なので神経を使うが、見通しの悪いカーブでも対向車のライトが教えてくれるので比較的走りやすい。 順調に距離を稼ぎ、一之瀬林道に入る。
 
 途端に真っ暗で狭い道が始まる。 後で分かったのだが、三ノ瀬に向かう林道は道が整備され、マイクロバスでも楽に走れる道路になっていた。(もちろん帰路は利用した♪)
狭い林道を何とか無事に通過して三ノ瀬部落に到着。 将監峠からの林道口から作場平Pまでの道を確認する為にゆっくりと距離を測りながら進む。 
いくつかカーブを曲がった先に、やっぱりいました4本足のでかい動物が!

 野生の鹿2匹が車道に出てきて明るいヘッドライトに驚いて立ちすくんでしまって動かない!

余計な刺激を与えぬようにパッシングをしたらガードレールを越えて稜線を谷に下って行ったので一安心。 ナビの距離を信用すると三ノ瀬の下山口から作場平Pまでは6qほどあるらしい。
車道歩きは結構キツイがピストンのルートを採ると楽勝過ぎて足トレにならない。 車だから簡単に作場平Pに到着。(04:30) 辺りは真っ暗闇で何か出てきそうな雰囲気だ。
寒いのと怖いのと眠いのが混ざってしまい、車中でパンを食べながら小休止。 エコに反するようだが、エンジンで暖房していなければ寒くてやりきれない、外気温は2度だった。

やがて、いつも起きる時間(05:30)のアラームが鳴るが、辺りはまだ薄明りだ。 6時なってやっと外の雰囲気が分かるようになってきた。 
それにしても今日はあまり気が乗らない!(ミーハー登山家としてはマイナーな山ではモチベーションが上がらないのだ!)
「止めようかなぁ」と思いグズグズしてラジオを聴いていると、今日は良い天気らしい。せっかくここまで来たのだからと自分を叱咤して、せめて笠取山水干までと奮起して出発する。(06:30)

作場平P登山口はよく整備されていて、トイレがあり沢の水だが水道の蛇口から水が出る。 注意書きにもあるが「水を止めないで!」とある。 水を止めると沢から引いてあるパイプの中が凍ってしまい使用不能になってしまうのだ。 
山こじは止めてあった元栓を開け、蛇口から水が出るようにしてから出発したが、帰りに覘いてみたら水が止まっていた。 
意味が解らずに「もったいない」と思って栓を閉めてしまう人が多いみたいだ。

              
                           丁寧な案内板                                      水道(沢水)完備のトイレ

登り始めてすぐに「熊注意!」の看板がある。 熊鈴を忘れたのに気が付いたのだが面倒臭いので、阿弥陀南稜の時みたいに「ふぉっ、ほぉぉ〜〜〜ふぉっ!」と遠吠えのような声を歩調に合わせながら吠えてゆっくりと登る。 三蔵一休坂を選んだが、山こじヤブ沢峠出る沢沿いの道を選んだ。 多摩川の最上流がせせらぎになっていく様を楽しみたかったからだ。

    
       よく整備された道                     一休坂分岐                       沢沿いの道                      この日見た多摩川最上流   

最上流の流れ口を見た後は、登山道がジメジメしていて霜柱などもあった。 泥濘を歩いた靴でズボンの裾が汚れるのを気にしながら歩くとやがてヤブ沢峠に到着。(07:31)
峠は別に視界が開けているわけでもなく、小屋に続く道方向の道はやたらに幅広く、よく整備されているというよりも、人の手が入り過ぎていて味気ない。

    
         雰囲気のある小径                     ヤブ沢道                        ヤブ沢峠                      味気ない笠取小屋への道
                        
小屋やトイレなどの施設建設の為に、重機で広げた道なのだろう。 幅が車両が通れるほどあったし、轍らしき跡もあった。

峠から遊歩道みたいな道をサクサク歩くと眼の前が開け、笠取小屋に到着。(07:45)
営業小屋2棟と古い小屋は冬季の解放小屋として残してある。 連休の早朝だからなのか、小屋番さんは不在で小屋の扉は閉まっていた。 これから登ってくるのだろう。

    
    手前が冬季小屋、 奥は営業小屋2棟          冬季小屋の薪ストーブ                冬季小屋内部(布団もある)                トイレも整備され綺麗だ

小屋から笠取山に向かう道の横に雁峠があるので寄り道をしてみた。 小さな分水嶺の手前から草原を少し降りると雁峠だ。 現在は廃業している雁峠山荘を野次馬してから戻った。

    
        分岐(右の小丘が分水嶺)       雁峠とは秩父の呼称、甲州ではツバクラのタルと言われた    峠のすぐ横の燕山2004m                雁峠山荘(廃業)

   
               雁峠説明版                         雁峠山荘正面(緊急避難以外は使用でください)     内部1階(2階もある)

   
                  分水嶺と笠取山                      説明版(この峰の東側に降った雨は多摩川、西側は甲府盆地を経て富士川、北側に降った雨は荒川となる)

 野次馬を終え、いよいよ笠取山を目指す。 防火帯の為にバリカンで刈り上げられた姿が美観を損ねるが、東京都の水源林として樹木を山火事から守るためには仕方がない。

   
                東京都水源林のお勉強看板

 一気に上る詰めるような山の成り立ちは恰好は良いが、登るのには辛い! あそこまで! もうひとカーブ! と頑張っていると下にハイカーの姿が・・・。
へばった姿を見せたくないので、さらに頑張って頂上に到着。(08:56)

   
            笠取山1953m(一直線に登れぇ〜)                         もう一つの頂上から                                


 頂上は風が強いので一気に体が冷えてしまい、長居はできなかった。 写真だけですぐに下山、水干に向かう。 ここからの道も完璧なまでに整備され、年配のハイカーも安心して歩ける遊歩道だ。
案内に従い、歩道を進むと分岐があった。 ここから下に60mほど下った所が多摩川の最初の一滴が見られる

              
                 
                   水干(文字通り水が涸れる所、こんこんと水がわき出る様を想うが、それは60mほど下にある)    水神社(すいじんじゃ)

 下から登ってきた人に聞いたが、今日は水が涸れていて、もっと下の方になってしまうらしい。 そんなに下るのも嫌なので、先を急ぐことにした。
笠取山周辺は、結構ハイカーがいるが、唐松尾山まで縦走する人は殆どいない。 まして尾根道のほかに(楽な?)歩いていないので確認できないが、その下に奥秩父主脈縦走路が通じていて、高度差の少ない「まき道」みたいになっている。 さて山こじの選んだ道は、黒槐ノ頭2024m(くろえんじゅ)までは稜線の南側を歩き、その先からは稜線伝いに唐松尾山2109mまで続く道だ。 風もなく陽だまりの景色のよい状態だが、あまりにも静かなので、頭の中に「熊注意」の文字が浮かんでいた。

    
      まき道と尾根道の分岐                     陽だまりの径                   誰もいない尾根におっさん一人          富士を見ながらの陽だまりハイク

 唐松尾山にかかる稜線を進むと、ちょっとした岩場で視界が開けた所がある。 山頂じたいは景色もなく中高年3人のパーティーが食事をしていた。 将監峠からのピストンだろうか?
落ち着かないので、ここでも休憩を摂らずに先を急ぐ事にする。 

    
         唐松尾山2109m              西御殿岩2075m後ろは和名倉山(白石山)    ハイドレーションのおかげで休憩無しで踏破      15分とあるが結構キツイ!!

 途中に景色の良いと知られる西御殿岩への分岐があり、そちらに進む。 草原の斜面のような状態で足元が見えにくい。 看板には15分と書いてあったが、バテていない状態で休み無しで歩き、最後の岩場を根性で攀じると15分で着く。 苦労した甲斐があり絶景が広がっていた。 奥秩父の山々、南アルプスの稜線、なによりも富士山が最高だった。
 
  
                                                       今年最高の富士

    
           山ノ神土                         牛王院平                         将監峠                         峠の防火帯

 分岐に戻り、再び下り始めると土砂崩れで登山道が崩壊していた。 迂回をしてやり過ごし山ノ神土に到着。(11:56)
山の神土とは「山の神の在する所(ド)」の意味らしい。 歩いてすぐ隣には牛王院平(ごおういんたいら)がある。 牛王院平(護王院・御王院とも)周辺には、武田金にまつわる寺院があったともいわれ、付近からは牛蒡金採掘跡や採金用の石臼なども見つかっている。 さらに進むと視界が開け草原状態の将監峠に到着。(12:13)
将監小屋で昼食にしようと思ったのだが、山道を標識通りに歩いてしまい、気が付くと将監小屋の青いトタン屋根が道の下に見える。 小屋は竜喰谷の源頭に建っているので、さっきの防火帯を降りていかなければいけなかったのだ。 戻るのも面倒だし、ここから三ノ瀬までの林道歩きは距離が長いので、サンドイッチを頬張りながらのんびりと今日の山歩(さんぽ)を終えた。

 林道の終点三ノ瀬部落の民宿の犬が作場平Pまでの車道歩きを30分ほど付き合ってくれたので、いい暇つぶしができた。 三ノ瀬着(13:29) 作場平P着(14:15)

    
       付き合いの良い犬だった、もしかして案内してくれたのかも・・・                            もう一つの駐車場にはマイクロバスもあり車が溢れていた 





                                                       TOPBACK