2015.7.24~27
 山こじ通信vol.45 後立山縦走
              (後半戦)
 
     昔の文献にある後立山とは鹿島槍ヶ岳の事らしい  美しい双耳峰だ

                  山行行程 (3泊4日) 2015.7.24~27        
  第1日目  予定歩行時間  5時間10分   (撮影+小休止  4時間43分)  

・07:30・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・07:55・・・・・・・・・・・・・08:53・・・・・・・・・・・・10:05・・・・・・・・・・・・・・12:38・・・
とおみ駅アルプス平駅地蔵の頭 (1:20) 小遠見山 (1:20) 大遠見山 (2:30) 五竜山荘(幕)
・820m・・・・・・・・1515m・・・・・・・・1676m・・・・(58)・・・2007m・・(1:12)・・2106m・・・(2:33)・・2490m・・・・・
 第2日目  予定歩行時間  9時間10分   (撮影+小休止  8時間02分)

・04:26・・・・・・・・・・・・・・05:26・・・・・・・・・・・・・07:31・・・・・・・・・・・・08:34~09:47・・・・・・・11:14~11:33
五竜山荘 (1:00) 五竜岳 (2:40) 口ノ沢のコル (1:30) キレット小屋 (2:00) 吊り尾根
・2490m・・・・・(1:00)・・2814m・・(2:05)・・・・2416m・・・・・(1:03)・・・・2470m・・・・・(1:27)・・・・・・・・・・
・・
・・・・・・・・・・12:09・・・・・・・・・・・・・・・・・13:00・・・・・・・・・14:00・・・・・
・(30) 鹿島槍ケ岳(南峰) (40) 布引岳 (50) 冷池山荘(幕) 
(36)・・・2889m・・・・・・・・・・・(51)・・2683m・・(1:00)・・2410m・・・
・ 
 第3日目  予定歩行時間  9時間45分  (撮影+小休止  10時間10分)   

・04:15・・・・・・・・・・・・・・・05:33・・・・・・・・06:09~06:21・・・・・・・・・・07:52・・・・・・・・・08:29~09:18・・・・
冷池山荘 (1:45) 爺ヶ岳南峰 (40) 種池山荘 (1:40) 岩小屋沢岳 (40) 新越山荘 
・2410m・・・・・(1:18)・・・2660m・・・・(36)・・2450m・・・・・(1:31)・・・・2630m・・・・(37)・・・2465m・・・・・・・

・・・・・・・・・10:53・・・・・・・・・・・13:02・・・・・・・・・・14:00~14:34・・・・・・・・16:00・・・・・
(1:50) 赤沢岳 (1:30) スバリ岳 (1:00) 針ノ木岳 (40) 針ノ木小屋(幕)
(1:35) 2677m・・(1:09)・・・2752m・・・(1:58)・・2820m・・(1:26)・・・・2536m・・・・・
 第4日目  予定歩行時間  3時間10分  (撮影+小休止  3時間11分)  

・05:38・・・・・・・・・・・・・・・・07:41・・・・・・・・・・・08:49・・・10:41
針ノ木小屋 (2:00) 大沢小屋 (1:10) 扇沢とおみ駅
・2536m・・・・・・(2:03)・・・1700m・・・(1:08)・・1420m・・・・・・・

後立山とは…前回2012年のvol.39のレポにあるので詳しい説明は要らないと思うが単純に白馬岳から針ノ木岳まで水平距離にして32キロにも及ぶ長大なコースだ。 

毎年同様、7月は連日の猛暑の中、仕事に明け暮れてはいたが、食欲不振など関係なく、殺人的な気温でも毎晩の美味しいビールのおかげですっかりメタボ体型になってしまった。それなのに、山こじは無謀にも、ザックの中にあれも(酒、これも(つまみ)と詰め込み、久々の登山なのに特大のザックを作り上げてしまった。
                              (昔の山ヤなら、梅干しの種さえも抜いたのに・・・)

これでは自分の体重や装備を含めると片足にかかる体重は約100㌔、下りではその3倍もの負荷が膝にかかるという・・・。
前回は膝の故障でリタイアしたというのに、全くもう・・・反省というか向上心が欠落している。

 2012年は白馬大雪渓から白馬岳(2932m)、杓子岳(2812m)、白馬鑓ヶ岳(2903m)、不帰のキレット(2411m)、不帰の嶮(2614m)、唐松岳(2696mと縦走し、左膝の故障で八方尾根からリフトで下山、縦走の目標距離の半分で涙を呑むしかなかった。

今回は前回降りた八方尾根コースからの入山ではなく、未知の遠見尾根からの入山にした。やっぱり知らないルートからの方が新鮮だよね。 

前回はハイカーの目を気にし過ぎて、恥ずかしい思いでゴンドラに乗車して降りて来たが、今回は堂々と胸を張って(どこからその自信がでるのだ?)利用できるものは全て利用するという、人間が一回り大きくなってのリベンジだ。(ウエストも一廻り大きくなってだろ!)

 

 第1日目 723日(木)

朝から雨模様だったので、仕事が休みになり、今回は前夜スタート+登山口にて車中泊という事で、夕方自宅を出発。(1700
渋滞知らずの中央道を快調に走り抜け、自宅から約4時間後の2100前には「道の駅白馬」に楽勝で到着。
すでに登山客と思しき車が数台到着していて仮眠中だ。京都や静岡ナンバーの人は長いドライブでさぞ疲れている事だろう。 
迷惑を掛けぬよう静かに適当な場所を陣取って仮眠体制に入る。高速を降りてから雨が降っていたが、明日の朝には止んでいてほしい・・・zzz。

「道の駅白馬」は登山口の白馬五竜テレキャビンとおみ駅に近く便利だ。(車で約2分)
隣接するエスカルプラザから徒歩でゴンドラのとおみ駅に繋がり、何よりお風呂(白馬姫川温泉・竜神の湯)に入れるし、食事もできし、広大な無料駐車場完備だ。
下山時のコース入れておくといいかも知れない。

     
       すごく広い駐車場(無料)             テレキャビンとおみ駅(ゴンドラ

 724日(金)

 
           第1日目はゴンドラ・リフトを乗り継ぎ♪、五竜山荘まで

夜中から降り出した雨は、夜が明けても止んではくれなかった。 
ゴンドラの始発は
0730なので、ゆっくりと準備をして愛車を後にする。 
これから
34日の旅の始まりだ。

便利な情報をひとつ、エスカルプラザ内にて時間待ちでウロウロしている時に、受付の方から、下山時の便利なバスを教えてもらった。 
当初の予定では、扇沢に下山後、バスで信濃大町に出て、
JR大糸線に乗り神城駅から徒歩(20分)の予定だった。
それが扇沢からアルペンライナーというバスが出ており、神城のエスカルプラザを通り、白馬八方のバスターミナルまで行くという。 
マイカー登山で登山口と下山口が違う方は利用すると大変重宝だと思う。

ちなみに、アルペンライナーは1日に3本(扇沢発101014101540神城までは30分くらいで、神城も八方も料金は同じ1800円だった。

0730になり、予定通りに始発のゴンドラが動き出した。徒歩でテレキャビンとおみ駅に移動する。 
手回り品のザックの重さを量ると、何と!というか、やっぱり
20㌔超!!(ゲッ・・・)

どおりで重い訳だ。 ウイスキー500(あれもにつまみ類(これもの重さだけでも2㌔近い・・・こうなりゃ笑うしかあるまいワッハハ! 

いよいよ出発だ、合羽を着てゴンドラに乗りこみ、ゴンドラの終着アルプス平駅(1515m)にすんなり到着。
今度はお花畑の道を徒歩でリフト乗り場に移動し、雨ざらしなのでフードを被っての乗車だった。(少し寒い!) 
しかし、ゴンドラやリフトにただ乗っかっているだけで
テレキャビンとおみ駅(820mアルプス平(標高1515m、さらにリフトに乗り換え、地蔵ノ頭(1673m)に移動できるのは楽で良い! 
さすがにスキー場である。
(これを喜ぶとは山ヤの風上にも置けない!)

やがて地蔵ノ頭に到着し、いよいよ登山の始まりだ。(0755

     
      雨の中ゴンドラで移動♪                 次はリフトに乗り換えて
 
     

     標高差800m以上を一気に稼ぐ?             地蔵ノ頭(1673m)

地蔵ノ頭小遠見山まではアルプス平自然歩道とおみ尾根トレッキングコースとして整備されている。
雨で展望の効かない中ひたすら歩く。 久しぶりのテン泊装備のザックは重く、吹き出す汗と雨で全身びしょ濡れになって登る。おかげで寒さは感じない。

     
            見返り坂                        一ノ背 髪

     
          
二ノ背 髪                       中遠見山(2037m)

     
         
大遠見山(2106m)                  吹き上がるガス

西遠見を過ぎる頃から残雪が見られたが、もうひと雨も降れば消える程度だろう。

     
       西遠見山(2268m)
                    残雪が見られた

白岳の手前に急坂があり鎖場があった。 このころから雨雲が消え、待望の景色が広がり、今まで歩いて来た道が見えるようになった。 

     
        登って来た遠見尾根
                   白岳への鎖場

     
       眼下に五竜山荘
                     白岳で縦走路と合流

急登を終えると白岳(2541mに到着、登山道は唐松岳からの縦走路と合流。 眼下には五竜山荘が見えた。

五竜山荘到着。(1238) 稜線は物凄い風で、小屋泊も頭をよぎったが、今日は布団1枚に3人とか聞いて怖気づき、予定通りテン泊を申し込んだ。 
売店で今回の目的だった「山が好き 酒が好き」
Tシャツをゲット!

 
                      そのまんまの人間じゃ

テン泊の申し込みは1番目だったが、
2番目にはツェルトの漁労長だった。 彼とは翌日にも冷池のテン場で再会し宴会を付き合ってもらった。
この日のテン場は
56張で余裕だった。

  第2日目 725日(土

 
          第2日目は五竜山荘から、五竜岳・鹿島槍ヶ岳を越え冷池山荘まで

稜線は風の通り道とあって一晩中強風に悩まされ、さすがに寝不足である。
テント設営の基本は風下に出入り口、もしくは長辺と短辺があるならば、短辺側が風下である。 
しかし立地条件が揃わず長辺側を西側(黒部側)にして設営したものだから、一晩中横殴りの風にあおられてしまった。

     
       稜線のテン場は吹きさらし
             テントの中は一晩中こんな感じ

しかし夜明けと共に、風も弱まってきたみたいだ。 そして昨日の雨とは違い素晴らしい朝が訪れた。(ふんっ!誰が雨男じゃっ)

 
                     
 五竜山荘テン場からの夜明け

     
       朝日を見る人達が出てきた
                五竜山荘前から五竜岳

 
 
                        五竜岳頂上(0526

 
                     これから向かう鹿島槍ヶ岳方面

 
             登って来た稜線、 五竜山荘の赤い屋根、G0ノ頭,G2ノ頭

 
               北尾根ノ頭から五竜岳(G3) G4・G5G7を振り返る

ちなみに五竜岳にはG0・G2などGのつくピークが多いが「G」ドイツ語のグラート(岩稜)を意味する。
五竜岳
G3になる。 
奥穂ザイテングラートは有名だが、英語に直すと
side ridge
北穂から奥穂に続く尾根道が「主稜」、それに対しての「側稜」となる。

     
      口ノ沢のコルからキレット方向            やっと見えたキレット小屋(0834

     
        八峰キレット風が強い              キレット小屋はこんな感じで建っている

ここまで来れば、本日の行程の半分は消化したので大休止を摂る。 
この先の難所「八峰キレット」がどんなものだか分からないし、朝食無し、行動食無し、水少々しか摂取していない。
ここまで酷使したら少しは体を労わらないとメタボのオッサンは参ってしまう。 いつも登山中は立ち寄った山小屋での定番「カレーライス」を食べている。 
キレット小屋でもカレーライスを期待したのだが、生憎カップ麺しか置いていないらしい。 残念だが「キツネどん兵衛」で我慢する。 

窓から見える景色は素晴らしいが、外はすごい風だ、ストーブは点いていないが小屋の休憩室の中だから良かった。 
行動を止めてしまうと汗ばんだ体はすぐに冷えてしまう。皆楽しそうに休憩をしているが寒くは無いのか?

さて、充分な休憩を摂ったので準備万端、いよいよ八峰キレットへ出発だ!(0947

キレット小屋の前後は勿論悪場である。 小屋から始まるいきなりの鎖場や急登に眼喰らう。 
小屋を見下ろすような高さまで上がったら、前方の岩稜の上から登山警備隊の人がキレット通過をする人全員に声をかけ注意喚起をしていた。

     
 キレット核心部 足場が切れ落ちて鉄筋が打ち込んである
    鉄梯子・鎖場が続く

     
      はっきり言ってスリルは感じ無い!
      道幅広がっても横はさらに切れ落ちている

八峰キレットは幅の狭い30㎝位?)道と鎖や鉄梯子があり、核心部は切れ落ちた岩壁に足場としてφ16の鉄筋が打ち込まれている2歩だけだった。

よほどの疲労困憊とか不注意とかさえしなければ、中高年ハイカーでも特に心配はない。
ペースが遅い人や体力に自信が無い人はキレット小屋宿泊を視野に、疲れによる注意力散漫に注意して登山計画を立てれば安心だと思う。

ちなみにキレット小屋の前後は五竜山荘冷池山荘で、どちらも45時間の行程と五竜岳鹿島槍ヶ岳という高峰を越えた先にある。
皆さん無理をなさらずに計画しましょう。 

さて、八峰キレットも無事通過(1004)し、いよいよ鹿島槍ヶ岳の登りに掛かる。

鹿島槍ヶ岳は南北にふたつのピークを持つ双耳峰だ。 (=^^=)耳とも言われる。

鹿島槍ヶ岳という名前は明治以後で山麓の鹿島部落の名を採ったものである。 
しかし、ずっと古くからこの山を信州側では「背比べ」「鶴ヶ岳」と呼んだ。
「背比べ」双耳峰から来たものであり、鶴ヶ岳は残雪の模様に因んだものである。 
越中側では「後立山」(ごりゅうざん)という呼称があった。 
越中の古文献に後立山という名があり、その山がどれを指すのか、いろいろ論議にあったが結局は今の鹿島槍ヶ岳がそれであることが確かになった。 
今回
の山行の下山後、2度目の訪問になった大町の山岳博物館で古地図を見たが、明らかに鹿島槍ヶ岳であった。

 鹿島槍の登りには、悪場はないが強い日差しと急勾配の連続に逃げ場が無い! 
キレット小屋での休憩時には寒く感じたくらいだが、登りでヒイヒイ言ってる自分には黒部の谷から吹き上げる風が心地よい。 
道中が長くキツイいので前方を見ないで足元に視線を落として頑張る事
1時間少々、吊り尾根に到着。(1114

鹿島槍ヶ岳北峰南峰双耳峰だが、縦走路は北峰に直接登らず吊り尾根と言われる北峰の基部に取りつく。
ここでザックをデポして空身で
北峰(2842mに到着。(1123

 
            
 吊り尾根への登り、 見上げる北峰・さらに奥に南峰

     
            吊り尾根
                      北峰からの五竜岳

 
                   北峰から望む鹿島槍ケ岳南峰

昨日登って来た遠見尾根から五竜岳、そして苦しめられた鹿島槍までの尾根道が全て見えている。 
素晴らしい景色にみとれるが、南峰に眼をやると・・・
とんでもなく下ってからの登り返しだ!

時間も無いので景色もそこそこに吊り尾根に下ると(113320人以上の中高年の団体さんとすれ違う。 
間一髪でザックを回収して、本日最後の登りに気合を入れ直し出発。 

吊り尾根には東面のカクネ里側に雪渓が残り西面の黒部側には高山植物が咲いていた。

北峰から南峰へは2~3のコブがあり、ざらついた急な登りにがっちりと苦しめられて・・・、やっと南峰(2889mに到着。(1209) 

     
        鹿島槍ケ岳頂上
                      ヘルメットから解放される♪

これで今日はもう登らなくていいんだ。(ヤレヤレ)
頂上では沢山の登山者で賑わっていた。冷池方向から登って来た人たちは、ここにザックをデポして北峰をピストンしているみたいだ。

「山の天候は午後から変わる」のセオリー通りに、黒部側からはガスが吹き上がってきていたが、この日はまだ展望が利いた。
北峰
が邪魔をするので、昨日までの五竜岳方面の景色は見えないが、今度は変わって明日から歩くルートや爺ヶ岳から針ノ木岳に続く山並みが一望にできた。 
まったく最高の天気に恵まれ
山岳劇場の第2が展開しているみたいだ。(東北は雨だって?三蔵こそ雨男!) 

10
分程休憩していると、北峰にピストンで登りに行った中高年の団体さんが戻って来た。
ゆっくりしていると
団体さんに道をふさがれてしまう、その前に出発だ。 残りは冷池山荘のテン場までの下りだ。 


 
                    鹿島槍ケ岳南峰から冷池山荘まで

 
              鹿島槍ケ岳南峰から爺ヶ岳方向、真ん中のピークは布引岳

後立山連峰は鹿島槍南峰~五竜岳間は岩稜区間と言ってよい。 
この間は自分が落石を起こす危険も、他の登山者からの落石を受ける危険も多いので、是非ヘルメットを被って欲しい。
そして両手両足を駆使して鎖場や鉄梯子の昇降もあるので、ストックはザックに収めて万全を期したい。 

南峰からの下りはジグザグのザレた道なので、スリップに注意して1.5㌔を下り布引山(2683m)を通過する。(1300
さらに
2.5㌔下り冷池山荘のテン場に到着。(1400

     
         布引岳(2683m)                     ハイマツ帯に入る

テン場には、五竜山荘でツェルト泊をしていた漁労長が先に到着していて寛いでいた。
テン泊の申し込みを済ませ、漁労長の横にテントを張り、待望の宴会を始めた。
さらに、新潟の若者二人も交えての楽しい語らいが出来、苦労して持ち上げたつまみ類やウィスキーも呑み干し、ザックの軽量化にもなった。

「百の頂に、百の宴会あり・・・」 by山こじ

     
        漁労長と語り合う
                    若い2人とも楽しい時間を過ごした

 
           
テン場から爺ヶ岳、北峰(2631m)、中央峰(2669m)、南峰(2660m)
 
 第3日目 7
26日(日)


 
              第3日目は冷池山荘から爺ヶ岳針ノ木峠までの長丁場 

夜明け前の
0300、外は真っ暗だが、睡眠充分のテン泊の者たちは炊事をしたり、テントを畳んだりと、ガサゴソと忙しい。 
普通なら気を使って出来うる限り静かに事を進めるのだが、殆どの人達は既に起きているみたいなので、出発の準備を始める。 
隣の漁労長は既に出発したみたいだ。 テン場を後に冷池山荘に立ち寄り出発。(
0415

小屋からの樹林帯の暗い道を抜け、冷乗越で視界が明けた頃、朝日のお出ましだ。 今日も快適な縦走が出来そうだ。  

     
      小屋泊の人達はまだ寝ている               冷乗越から振り返る

     
        そろそろ夜明け・・・
                      来たぁ~~♪

寝起きの体で、いきなり爺ヶ岳の登りだ。ハイマツの道を一歩一歩ゆっくりと体を慣らすように登る。

爺ヶ岳は北峰(2631m)・中央峰(2669m)・南峰(2660m3つのピークがあるが、北峰は登山道が巻いているので、登らずに通過。
中央峰は縦走路から離れていて、今日の行程が長い事もありパスしてしまった。
爺ヶ岳中央峰が最高峰なのだが、うっかり通り過ぎてしまった。

     
         爺ヶ岳の稜線
                         目標の種池山荘

     
            
立山                              剱岳♡

 
                    
快晴の爺ヶ岳山頂にて波平爺さん

しかし、物凄い景色だ。これから歩く尾根道も針ノ木岳、薬師岳、立山、剱岳、振り返ると鹿島槍ヶ岳etc

北アルプス北部の千両役者の揃い踏みだ。 

下の方を見ると、ゴール地点の扇沢駅も見えている。 

     
           鹿島槍ケ岳
                      針ノ木岳と針ノ木雪渓

 
                う~~ん絶景! 切り取って持ち帰りたい

絶景は素晴らしいのだが、縦走も3日目ともなると疲れも出てくる。 
罰ゲームのような、アルファ米の食事や地面に寝ているのとたいして変わらない生活を続けて、連日大汗を掻くような運動量だ。 
好きで登山をしているのだから、誰に文句をいう訳ではないが、ここまで快晴で見通しが利くといくら好きな登山でも登りの稜線が待ち構えていると心が折れてくる。

 
           申し訳ないが口に合わず罰ゲームみたいだった(もちろん全部)

とりあえず尺取虫の様に、朝一で爺ヶ岳を踏破して、ご褒美の種池山荘に到着。(0609

     
          種池山荘♪
                            種池

外には小屋泊だった人達が出発の準備に追われていた。 ここ種池山荘からは、柏原新道を経由して3時間もあれば扇沢に降りられるのだ。
贅沢な話だが天気が良すぎるというのも困る時がある。
見通しが利き過ぎ、この先の行程のアップダウンを見せつけられて、歩く前からゲッソリしてしまう。 
柏原新道の誘惑は魅力的だったが、それでも何とか気をとり直し縦走路を歩き続けることにした。
(ガッツだぜ!)

種池山荘から棒小屋乗越にかけてお花畑があり、コバイケイソウなどの高山植物がきれいだった。

 
                        コバイケイソウの群落
  

     
          アオノツガザクラ                       コイワカガミ

 
                       
圧巻の立山・剱岳

  景色は最高!気分も最高!!  だが・・・暑すぎるぞ!!!

岩小屋沢岳(2630mに到着。(0752 お腹も減ったし、コーラが飲みたいので、さっさと通過。 

     
        岩小屋沢岳の登り
                     岩小屋沢岳(2630m)

 
   
今日のルートが全部見えている。左から針ノ木雪渓・針ノ木岳・スバリ岳
                          下って赤沢岳・鳴沢岳、鞍部に新越山荘♪

     
         新越岳(2624m)
                       新越山荘♪

そして夢遊病者の如く、フラフラになりながら新越山荘に到着。(08:29)
朝から何も食べずにここまで歩いて来たので大休止を摂った。

 
   展望レストランにて待望の♡カレーライスを頂くことが出来き、大満足だ♪(その腹はなんじゃ?)

この新越山荘を過ぎると約5時間先の針ノ木小屋までは水場もないのだ。 食事を摂り、水分を補給し、予備に1リットルの水をザックに入れ出発。(0918

ここからは夫婦と娘でテン泊縦走をしている家族に引っ張ってもらい、ペースメーカーになってもらった。 
「お先にどうぞ♪」と言われたが、とても追い越していく自信などないし、追い抜いた人に抜き返される羽目にはなりたくない。

大石のゴロゴロした道を親子のパーティの後ろから続き、鳴沢岳(2641m赤沢岳(2677mと尾根の起伏に苦しめられながらもクリア。 
ちなみに黒部の太陽の関電トンネル扇沢が標高
1420mだから、単純に考えるとこの稜線の1200m下を貫通していることになる。

     
           
鳴沢岳(2641m)                    赤沢岳(2677m)

 
            素晴らしい景色に見いる、タフな親子パーティ

 
            ゴールの針ノ木峠と、立ちはだかる針ノ木岳・スバリ岳

我々4人は大休止を摂ることなく歩を進め(牛歩戦術)、いよいよ最後の手ごわいスバリ岳への稜線に入った。

 
             
先行する親子パーティ、着かず離れずの距離で行く

     
       崩落ヶ所! 痩せ尾根注意!
                頑張る波平!

 
                   いよいよスバリの頂上直下

途中痩せ尾根があったが、絶対に転んだり、油断をしてはいけない箇所だ。

岩稜の道はアップダウンを繰り返しながら高度を上げていく。
ハイマツに囲まれた平坦地から岩屑の急な斜面をジグザグに登っている時に、アクシデント発生。 
親子パーティの娘さんが足元のガレを注意するあまりハングした岩に頭をぶつけた。
たいそう痛がっていたが、外傷もなくヘルメットを被って再び元気に歩き始めてほっとした。

スバリ岳(2752mに到着。(1302
ちなみに「スバリ」とは深い谷意味し、そのスバリ沢の源頭に位置するところからスバリ岳の名がついた。

今日は山の天気特有の午後のガスも発生してこなくて、この時間でも最高の景色を堪能できた。
眼下にはコバルトブルーの黒部湖が見える。 
さあ、長居はしていられない、ひと息入れただけで最後のミッション針ノ木岳に向かう。

 
         
 スバリ岳(2752m)の頂上からの景色が今回の目的、これが見たかった♪

 
                  本日最後のミッション、針ノ木岳

岩屑のザレた道を下って、マヤクボのコルに降りる。
スバリ岳針ノ木岳
標高差は69mしかないのだが、50m近くも下ってしまったので、コルからは100m以上も登り返さなければならない。 
岩の急斜面を浮石に注意しながら、遂に
針ノ木岳(2821mに到着。(1409

     
         
針ノ木岳(2821m)                 花の山 蓮華岳(2798m)

これで今日の行程は針ノ木小屋に下るだけとなったが、親子のパーティは休憩もそこそこに今日中に扇沢まで下るという。 
彼らの出発を見送ってのんびりと景色に見入る。

 
                
高瀬湖と裏銀座、三俣蓮華岳、薬師岳、立山

 
                        立山・剱岳の連峰

針ノ木小屋からピストンで結構年配のグループが登ってきて、写真を頼まれる。 
彼らは今日扇沢から登ってきて、その日のうちに針ノ木岳をピストンして、翌朝は蓮華岳のコマクサの群落を見て下山するらしい。

     
       最高のロケーションのテン場
                  針ノ木小屋

 
               
針ノ木峠のテン場からの景色、今日歩いた道が全部見える 

 第4日目 727日(月)

 
                  最終日は針ノ木雪渓を下降して扇沢まで
               
今日は最終日だ。 蓮華岳をピストンしてから下山するつもりだったが、右足にマメができてしまったので、素直に下山することにした。

 
             
 針ノ木峠から槍ヶ岳・裏銀座・黒部五郎岳・薬師岳

     
   
峠から赤沢岳・鳴沢岳、鞍部に新越山荘         下り始めは雪渓の横をジグザグに

針ノ木雪渓は日本三大雪渓の一つで、他に白馬大雪渓と剣沢雪渓がある。

今回は最終日のこの為に6本爪のアイゼンを持ってきた。 重くても安全のほうが大事だ。
針ノ木峠直下まで雪渓は残っているが、登山道はその横をジグザグに切って作ってある。
ベンガラの目印があり、雪渓をカットして対岸に行くように誘導している。

     
       小屋の人達による雪渓カット              大岩 ここから雪渓に乗る

     
     6本爪アイゼンと雪用バスケット
            朝日の照り返しがキツイ雪渓歩き

無事に雪渓歩きを終え、樹林帯の道に入る。 今まで2500m2900m近い稜線にいたので下界は暑いと感じる。

     
           大沢小屋
                    山岳家・歌人 百瀬慎太郎氏レリーフ

 “山想えば人恋し、 人想えば山恋し”

    
       人で溢れる扇沢                       無事に愛車と合流

無事に扇沢に到着。(08:49)
教えてもらった
1010発のアルペンライナーで1041とおみ駅に着き、車を回収できた。 
これで前回の唐松岳からリタイアしてしまった後立縦走のリベンジが達成されて、満足な山旅だった。