2019.10.6~8
山こじ通信vol.52
錦繍の針ノ木岳~蓮華岳
言い得て妙とはこの事ですね
山行行程(2泊3日) 2019.10.6~8 |
第一日目 予定歩行時間 5時間00分 (撮影+小休止 3時間59分) |
・ ・・・06:25・・・・・・・・・・・・07:41・・・・・・・・・・・・・・・・・・10:24 ・・扇沢P・・(1:30)・・大沢小屋・・(3:30)・・針ノ木小屋(泊) ・・1420m・・・(1:16)・・1679m・・・・・(2:43)・・・・・2536m ・ |
第二日目 予定歩行時間 5時間45分 (撮影+小休止 5時間00分) |
・ ・・・06:01・・・・・・・・・・・・・・・・・・・06:57・・・・・・・・・・・・・08:17・・・・・・・・・・・・・・09:15・・・・・・・・・・・・・10:48・・・・・・・・・・・11:01 ・・針ノ木小屋・・・(1:00)・・蓮華岳・・(1:30)・・北葛乗越・・(1:00)・・北葛岳・・(1:55)・・七倉岳・・(20)・・船窪小屋(泊) ・・・・・2536m・・・・・・・・(56)・・・2799m・・・(1:20)・・・2318m・・・・・(58)・・・・2551m・・・(1:33)・・2509m・・・(13)・・・2450m ・ |
第三日目 予定歩行時間 3時間30分 (撮影+小休止 2時間42分) |
・ ・・・06:40・・・・・・・・・・・・・・・・・09:22 ・・船窪小屋・・・(3:30)・・七倉山荘 ・・・2450m・・・・・・(2:42)・・・・1100m ・ |
1年に2回は山に行きたぁ~い (#^.^#)♪
そんな我儘な還暦のオッサンの希望を職場の皆さん方や我が家の山ノ神新妻ちゃんが許可してくれて、小屋締めの針ノ木小屋と3年ぶり3回目の船窪小屋訪問が実現できました。
10月6日
仕事で疲れて帰宅したが、眠気が出る前に少しでも走ろうと22時には自宅を出発。
睡魔との闘いを続け、深夜の中央道をひた走り、一般道をも耐え抜き、道路規制ゲートを越えたが・・・扇沢の手前で猛烈な睡魔に襲われる。
一旦停止して深呼吸で外気を吸って、自分で自分の顔を引っ叩き、何とか無事に扇沢駐車場に到着。
やれやれと思い仮眠をしようとシートを倒すが、寝袋を忘れてきた着の身着のままなので寒い! おかげで僅かしかに眠れなかった。
㊤朝の扇沢
㊨いつもの切符売り場の行列(06:23)
夜が明けたが、今にも雨が降ってきそうな曇り空。 重い雲に覆われた空では気分が乗らないが6時になったので重い腰を上げ、ザックを担いで扇沢の駅前を行く。
扇沢からは過去に何度となくアルペンラインを、黒部ダムや室堂までの行きに使ったり、降りてきたりと利用してきた。
今回はいつものアルペンラインの切符を買う登山者の行列を横目に針ノ木登山道に向かう。 今回は日本一値段の高いアルペンラインではなく、最初から自力で歩くのだ。
・・・とは言っても、2015年7月に後立山縦走(後半戦)で下山路に使った針ノ木雪渓なので、少しは既視感が残っている。
㊤針ノ木登山道入口(06:27)
㊨針ノ木登山道(06:57)
最初の登山道入口の看板のところにポストがあったので登山届を提出。
ここから登山道と舗装路を出たり入ったりして、2個目の登山道入り口の看板だ。
いよいよ、ここからが針ノ木雪渓へと向かう登山道だ。
㊤伏流になっている沢(07:34)
㊨気温は低いが汗ばんできた
㊤ひっそりと佇む大沢小屋(07:41)
㊨百瀬慎太郎レリーフ
最初は肌寒いくらいだったが、すぐに汗がにじむようになってきた。
秋の針ノ木登山道は登山者の姿も疎らだ。 やがて、大沢小屋が見えてきた。
峠の針ノ木小屋は今日が最終宿泊日だが、大沢小屋はすでに小屋締めの後だった。 ジュースでも飲もうかと思ったが残念。
小休止がてら、コンビニのおにぎりで朝食をとっていると、2人の登山者と合流。 彼らは単独行同士なのだが、二人とも峠でテン泊してピストンで戻る予定だそうだ。
彼らに先行して出発しようとしたときに、とうとう雨がポツリポツリと降り出してきた。 でも大した振りではないので、合羽を着ないで歩き始める。
㊤雪のない針ノ木雪渓(08:27) 先行者が一人だけいた
2015年7月下旬に針ノ木雪渓を下降しているが、その時は雪渓の上を軽アイゼンで下降した。今回は全く雪の無い状態の夏道なので様子が全然違う。。
大きな石がゴロゴロしているし、横に取り付けた道も雨で路肩が弱くなっていて歩きづらい。
そして何よりも湧水や雪解け水が多くて沢を2度3度渡るようだった。 針ノ木小屋のスタッフによって親切にも簡単な橋が渡してあり靴を濡らすことはなかった。
やがて針ノ木雪渓夏道の難所の大岩を乗越す箇所が出てきた。こんな箇所があることも知らなかったので、退屈することなく歩けた。
ここの通過は自分より年齢が上の登山者には結構厳しい箇所みたいだ。 すれ違った登山者の中には足元がおぼつかなくて危なっかしい人がいた。
もちろん、還暦を過ぎたとはいえ、自分には、まだまだ楽勝だったが、油断は禁物だ。
㊤雨とガスでビショビショ(08:51)
㊨湧水が多く沢になっているが、ちゃんと橋がかけてある
㊤夏道で現れる岩場(08:57) 油断は禁物だが変化があって楽しい♪
㊤空が抜けた! もうすぐ峠!!(10:09)
㊤・・・と思ったら九十九折!!
㊨九十九折を見下ろす、結構登ってきた
㊤針ノ木峠2536m、やっとゴール!!(10:24)
大沢小屋からは少し雨が降っていたが、合羽を着るほどではなかったので、夏道に取り付いてしまって、合羽を着る機会をなくしてしまった。
ゆっくりペースでも、じんわりと汗をかいて寒さは感じなかったので、とうとう峠まできてしまった。
写真での自分の表情をあらためて見てみると、結構険しい顔をしているので、少しは無理をしていたかも・・・。
とはいえ、4時間程度で宿泊地に到着できるなんて、楽勝登山過ぎたかな?
まっ還暦のオッサンなんだから、ガッツ登山はそろそろ卒業して、ゆとりの山歩きをモットーに、これからは行こうと思う。
㊤針ノ木小屋 2015年7月以来、前回はテン泊だった
㊨通常は1マス2名で寝るのが定員だが、今回は1人で1マスを確保できた
㊤針ノ木小屋4代目百瀬 陽(ももせ あきら)さん
曾祖父が有名な百瀬慎太郎では、職業選択の自由などあろうはずもない、「4代目小屋の主人」の陽さん。
明るくて元気な若者でした。隣は便乗して写真に入った同宿の御姉様です。
㊤紅葉が進む針ノ木谷
㊨夕食
今夜の宿泊者は最終日を狙ってきた10名ほどだった。
陽(あきら)君に聞くと今年の夏の営業は、雨が多く、天候に恵まれなかったので小屋の営業的には芳しくなかったそうだ。
さらに気温も高くて、未だに初氷も初霜もないままの小屋締めとなったらしい。
夕食はサバの煮つけなど、在庫処分なのか豪華だった。 しっかり、ご飯も2杯お替わりしてお腹に収めた。
寝床は1マス2人×5で10人のところに3人だったのでゆったりと寛げれた。もっともmaxの定員が100人ところ今日の宿泊者は10人なので、、どこの部屋もゆったりと寝ることができたと思う。
10月7日
針ノ木小屋の最終日の朝が明けた。 スタッフも今日が最後とあって、何だか慌ただしい。
夜中は2枚の毛布を1枚は敷毛布として、もう1枚は掛毛布として使ったので、寒くはなかったが、朝、写真を撮ろうと外に出てみると、さすがに標高2500mの戸外は無茶苦茶に寒かった。
街の感覚でいうと、既に真冬の気温だ。
今年最後の朝食を美味しく頂き、お弁当の御握り🍙を受け取り、気合を入れて出発だっ!
㊤朝食
㊨お弁当は🍙
㊤朝の針ノ木大雪渓
㊤いざ出発!!(06:01)
風対策だけを考慮して、厚着はしなかった。 歩いている分には、寒くはない程度で汗を掻くほどではない気温だった。
しかし、小屋から、いきなりの急登で、寝起きの体には少々きついアルバイトだ。
しかし、そのおかげで一気に標高を稼ぎ、小屋と針ノ木岳が見下ろせる高さまで登るのが、あっという間だった。
㊤針ノ木岳2821mと針ノ木小屋(06:10) スタートして10分足らずでこの景色
㊤左が北葛岳2551m、中央の三角が七倉岳2509m、
右側に下がって船窪岳2459m、陽が当たっているのが不動岳2595m(06:09)
㊤今日もカッコいい剱岳2999m(06:23)
㊤蓮華岳からの絶景、爺岳、鹿島槍、白馬岳方面(06:37)
㊤逆光だけど雲海を背に・・・(07:03)
㊤蓮華岳より今日これからのルート、手前が北葛岳、後ろが七倉岳(07:05)
㊤蓮華岳山頂2799m(07:06) 風が凄い! (またもやネズミ男に変身!)
㊨小屋で仲良くなった小松田君と(07:07) 彼はここからピストンで峠に戻り下山予定
㊤蓮華岳を振り返る(08:34) 7月中旬~8月上旬にはコマクサの群落が見られる
㊤蓮華の大下りの途中(07:20) ザレ道で結構長い!
㊨大下りの最後の岩場(08:23) ちょっとスリリング♪
㊤大下りを終えて北葛乗越2318m(08:17)
この場所は、本当に佐々成正の伝説のサラサラ越えがあったとしたら、真冬の山越をした峠は針ノ木峠ではなく、北葛乗越だと言われている。
針ノ木谷からは一直線で地形的にも納得がいく。
㊤北葛乗越から北葛岳に向かう(08:34) 天気は最高!
㊤北葛岳山頂2551m(09:15) 呑気に歩いても難なく登頂。 右に針ノ木谷の秋景色を見ながらの稜線漫歩だ。
㊤秋色の山道(09:32)
㊨針ノ木谷も秋から冬が迫っている(10:18)
㊤七倉岳2509m、左端に船窪小屋2450m(09:44)
㊤七倉岳2509mから船窪岳2450mと不動岳2595m(10:42)
㊤七倉岳山頂2509m、後ろに蓮華岳2799m(10:48)
㊤2016年以来の船窪小屋(10:59) 一幅の景色だ
11時ころに船窪小屋が見えてきた。 3年ぶりとはいえ、懐かしい佇まいだ。
もう、この小屋にはお父さん、お母さんはいない、2年前に引退されたのだ。
80歳の高齢まで小屋守を頑張ってきたのだが、さすがに限界である。 麓の息子さん達も心配が絶えなかったと思われる。
では誰が後を継いでくれるのか?
この時にさっと手を挙げて自ら立候補をしたのが塩ちゃんだったらしい。
最初はお客として船窪小屋を訪れたのだが、何時の頃からか、大阪の自宅から、毎週のごとくボランティアとして、急登の七倉尾根を登り、船窪小屋の手助けを続けてきたのだ。
2年前の小屋閉めの時もボランティアとして、働いている姿を見かけている。
しかし、なんといっても小屋番仕事は大変だ。 山が好きだとか、雲上での生活に憧れて・・・くらいの動機では務まる筈はない。
山の上で困った事が起きたら、大工仕事にせよ、電気仕事にせよ、もちろん水汲みや力仕事も、自分自身で処理しなければならない。
肝心の美味しいご飯で有名だった船窪小屋の食事、布団干しや部屋の掃除、ランプの手入れは言うまでもない。
こんな大変な仕事をシャイで華奢な塩ちゃんにできるのか?
いや、なんとしてもやってもらうしかない! (とお母さんが言っていました)
そして、みんなで塩ちゃんを応援してやるしかないのだ。 (頑張れ~👏)
㊤小屋番を任されて2年目の塩ちゃん シャイなので会話が一番の苦手?
㊨今日の泊り客は3人だけ
㊤お父さんが守ってきたランプも健在、しっかりと塩ちゃんが手入れしています
㊨お母さんから引き継いだ名物の夕食の献立にビーフシチューを追加
10月8日
しだいに明るくなり夜が明けてきた。 昨夜はさっさと寝てしまったので、3人とも結構早くから目が覚めていた。
小屋番の二人が朝食の準備をしているころには、宿泊客の我々はザックの支度をしていた。
今日は朝から音を立てて雨が降っている。 気が進まないが、登ったものは諦めて降りるしかない。
朝食を頂き、合羽を着込んで出発。
㊤夕食と違ってシンプルな朝食? 写真を見たお母さんが野菜が足りないと言っていた
㊨雨の中出発(06:38)
㊤塩ちゃんの鳴らす鐘で見送られる カァ~~~ン
残すところ小屋番生活あと1週間! 頑張れ塩ちゃん。 お父さんとお母さんによろしく伝えておきます。
㊤時期が合えば見事なお花畑
船窪小屋から七倉尾根を下るのは今回で3回目だ。 雨の中今までと同じように写真を撮りながら、ほぼノンストップで歩き始める。
別に急いで降りているつもりはないのだが、自分の脚力のバロメーターとして前回の記録と比較してみると・・・。
㊤いよいよ下りのスタート(06:40)
㊨9/10 (06:56)
㊤天狗の庭(07:01)
㊨8/10 (07:09)
㊤7/10 (07:20)
㊨鼻突八丁(07:30)
㊤6/10(07:34)
㊨5/10(07:54)
㊤補助金のおかげで補強された道(08:29)
㊨3/10(08:35)
㊤1/10(09:06)
㊨登山口(09:22)
2016年の1回目 10/10(06:19)~登山口(08:57)=2時間38分
2016年の2回目 10/10(07:11)~登山口(09:53)=2時間42分
2019年の今回は 10/10(06:40)~登山口(09:22)=2時間42分
還暦を過ぎたとはいえ、体力の衰えは時間には出なかったが、岩小屋の手前で足の筋肉が攣りそうになり、マッサージをしなければならなかった。
やはり、筋力の低下は隠せない。
㊤扇沢に到着(11:02)
㊨薬師の湯(11:23)
七倉に着いてびしょ濡れの服を着替え、タクシーに乗って扇沢に戻る。
今回はタクシーの運転手にもらった割引券があるので、薬師の湯で汗を流した。
露天風呂で寛いでいると、屋根の上を野生の猿が歩き回っていた、まさか風呂にカメラは持ち込めないので写真は撮れなかった。
今回は船窪のお父さんとお母さんに頂いた暑中見舞いの言葉を真に受けて自宅を訪問することになっている。
「実生で育てた大山レンゲの花が咲きました。
庭の山野草の花を見においでください。
令和元年 盛夏 松澤宗洋・寿子 」
社交辞令と思いつつも、お母さんの携帯電話に連絡して了解をとり、本当に来てしまったのだ。
扇沢から車を飛ばして栂池高原へと向かう。
以前はスキー客などで賑わっていた白馬や栂池高原だが長野オリンピック以降スキー人気が衰退し、スノボにとって代わった。
最近は不景気な日本人客より、季節が正反対のオーストラリア人客がメインで訪れているという。
南半球の夏は日本の冬というわけだ。
最近は小谷村観光連盟も集客を考えて、栂池自然園のほかにも、サイクルレースなどで盛り上げようとしている。
自宅近くまで来てから、お母さんの携帯と連絡をとりナビ誘導で自宅に到着。
さすがに塩ちゃん達がミニベルグというだけあって、2世帯住宅造りの自宅は、大きかった。
冬には1mを超す積雪がある地域なので、高床になっており、雪国を彷彿させる。
「お父さん、お母さん、真に受けて、本当に来てしまいました。 本日は御厄介になります♪」
㊤新妻になり奇麗になられた、しのぶさんと再会(15:08)
ヘタを取っているのは、サルナシと言ってマタタビ科の植物でキウイの原種ともいわれている
お母さんの出迎えで家の中に案内され、応接間に通されると、そこには船窪小屋の小屋番だったしのぶさんが遊びに来ていた。
小屋番のアルバイトの後、山関係で知り合った彼氏と出会い、現在新婚半年くらいで白馬に住んでいるそうだ。
2年前の水汲みの話を覚えていてくれた。 幸せそうでなによりである。
いろいろな話で盛り上がり、食事の時間が迫ってきた。
お母さんが「皆でベルグハウスで食事をしましょう」と提案され、お母さんの運転でホテルまで乗せて行ってもらった。
ホテルに着くと、お母さんはオオオカミ🐺ならぬ大女将なのでスタッフの動きにも緊張が走るみたいだ。
ホテルでは素晴らしいディナーを頂き、お父さんの愛飲している白馬錦を飲みながら話が弾む。
食事の後は、ベルグハウスの館内を、お母さんに案内していただいた。
冬のシーズンのスノボやスキーの為に屋外に出やすい、レンタルルームやプラネタリュームのあるホールなど素敵な館内でした。
それにしてもエレベーターの無い館内の階段を、上にも下にもさっさと歩いてしまう、お母さんの足腰の丈夫さには驚きました。
㊤㊨素敵な夕食 星形デザインのお皿
㊤星降る高原の小さなホテル ホテル白馬ベルグハウス 0261-83-2014
㊤お父さんお母さんと(20:25) お元気そうで何よりです
㊤泊まらせて頂いたお部屋
実はベルグハウスのオーナーの宗志・優子さん御夫婦のお部屋である。
ホテルと自宅はそんなに離れてはいないのだが、何かと不便なのでホテルに住まわれている。
㊨ホテルでの夕食の後も・・・ 自宅で乾杯(^^♪
㊤自宅に戻ってからも・・・(20:46)
自宅に戻ると娘さんの三千代さんが帰っていて、さらに楽しい会話と時間を過ごさせていただきました。
㊤愛犬のベルちゃんとお母さん(08:18) お世話になりました�(*^_^*)
翌朝、朝ドラを見ながら、お母さんと朝食を頂き、昨日までとはうって変わって最高の天気の中、栂池を後にして帰路に就いた。