2005.9.10〜11
   山こじ通信vol.5
  平ケ岳2141m
                  の途中で断念(泣)
 


   中ノ岐林道の入り口にて山こじ

 <平ケ岳は南会津、尾瀬の北西に位置し、利根川源流部の最高峰である。>



 <初のテント泊山行>
 山こじと三蔵はボウリング仲間(ライバル)である。  
ほとんど毎週末会っているのだが、その時に・・・・・

 三蔵    「今度の連休の山行きは平ガ岳にしょう。」

 山こじ   「ヒ、ラ、ガ、タ、ケ?」

 三蔵    「そう。 あそこには、玉子石というのがあって、
            俺はそこの写真を年賀状に使うんだ。」
                             
 山こじ   「・・・・・・・・・・・」

 それから山こじ平ガ岳について調べた。  深田百名山でも「百名山を志した最初から
念頭にあった」と紹介されているらしい。  そしてその道中は長く果てしなく・・・・秘境という名
を欲しいままに・・・・・・・・・・・。
 
 三蔵   「違うよ!  そのコースじゃなくて中ノ岐の林道から             
          3時間位で登れる ルートがあるんだよ。」
 山こじ   「えっ・・・・・・」

 山こじまたまた調べます。   なになに、昭和61年に皇太子殿下の登られたコース
で正規のルートではない?   自然保護の観点からも問題だあ?
 
 山こじ   「これって裏ルート?」

 三蔵    「そうでもないらしい、
      民宿に泊まった登山者をマイクロバスで送迎してくれるらしいよ。  
     くるまは入れないけど釣り人は歩いて林道の奥まで行っているよ。」

 山こじ   「観光の目玉のルートか?」

 実態は現地に行って判った。



林道入り口のなにやら怖い看板(山こじ納得)

 <一路、奥只見へ・・>
 9月9日、仕事が終わってから速攻で帰宅し「風呂っ! 飯っ!」新妻ちゃんを急かせてドタバ
タの出発である。(新妻ちゃんゴメン)
 今日は9時に坂戸が自宅の三蔵師匠(支障)と合流する予定になっている。

 三蔵    「高速代がもったいないから下道で行こう!」

 山こじ   「ひょえ〜」

 三蔵    「疲れたら、何時でも交代してあげるから。」

 山こじ   (・・・・・・・・三蔵の運転だったら自分でやったほうが安全だ。)

 ナビと三蔵のガイドで走り出す。   何回も信号にひっかかり、あっちへ行ったり、こっちへ
行ったり・・・・・高崎・・・・・・前橋・・・・・・。

 山こじ   「もう疲れた! 高速に乗ろう!!」

 三蔵    「そうだな。 前言撤回!」

 という訳で我々は無駄に疲れたあげく、高速に乗ることになった。    
げんきんなもので支障(師匠)は、

 三蔵   「疲れたら言えよ。 いつでも交代するぞ。」

 と言ったと思うやいなや眠ってしまった。
 結局、渋川・伊香保ICから高速の人となったのだが、渋川・伊香保ICってこんなに遠かっ
たっけ?     時刻はすでに12時を回っている。    早く登山口に着かないと仮眠ができ
ない・・・・・とあせっている山こじの横でリクライニングを倒し

師匠は寝ている!!(zzzzz) 

 いちおう弟子の山こじは運転に集中!   水上を過ぎ、関越トンネルを抜け・・・

やった〜新潟だ〜(やっと新潟だっちゅうの!)

 小出ICで高速を降り、『ここからはど田舎だから(地元の皆さん失礼)コンビニで買い物をし
ておこう』と立ち寄ることにした。
ここからは三蔵ナビも正確で奥只見シルバーラインなが〜いトンネルを抜け奥只見湖
畔沿いの街灯なんか無い真っ暗な道!
をくねくね走る。  はじめはドライブを楽しんでいたが、いい加減に飽きてきた。 
そして、やっと雨池橋に到着。  2時30分。

結局は一本道じゃんか!!



雨池橋
(橋桁の朱色が印象的)


 ここでひと悶着。  街灯ひとつ無い闇の中からジイサンがいきなり懐中電灯を向け、
 
 ジイサン   「あんたら、釣りかい?」

 山こじ     「いいえ、登山です。」

 ジイサン   「んじゃあ、ここから出てけ!!
          ここは俺の土地だ!!!!」
    
                          (ジイサンは釣り宿の人だった)

 山こじと三蔵は仕方なく、雨池橋の向こうの空き地へと移動しました。

 三蔵 「プンプン、昔からここに停めているけど今まで一度もこんなこと無かったゾ
        もっとも釣りだったけど。」  ( 当たり前じゃ!)

 さあ、やっと仮眠ができる〜。 と、くるまを止め外に出てみると

  うわあ〜満天の星!!

 と、山こじが感動している側から三蔵はもうすでに眠っている。
山こじも、少しでも寝ないと身がもたないということで眠ることにする。

  んごう〜            ひいゅ〜う   
息吸ってます                 息吐いてます

んごう    ひいゆ〜う〜
息吸ってます                 息吐いてます

ん〜ぐくっくっくっ
                   息、止まってます・・・   えっ!

 とっても気になってねむれましえん!
 
そして・・・・・

 山こじ     「4時だよ。」
 
 三蔵      「zzzzzzz」

一時間後・・・・

 山こじ     「5時だよ!!」

 三蔵      「zzzzz・・・・えっ。   何で起こしてくれないんだよ〜」

 山こじ     「アホかっ!・・・、
何度も起こしとるわい!!!(怒)」

 あわてて準備をするが、結局5時30分の出発となった。

 <奥只見湖〜中ノ岐林道終点>
 今回、ザックを新調した。   モンベルの 65リットルのやつだ。   今まで三蔵のザックをで
かいと思っていたが、その上をゆくサイズだ。    これも三蔵支障(師匠)のアドバイスなの
だが、予行練習を自宅でやってみたら、ザックの重量は22sにもなった。
 それを背負ってみると・・・・・・・

んぐぐぐぐ〜。とっても〜重も〜い!

 はたして山こじはこのザックを背負って、歩き通せるのか?
とにもかくにも山行はスタートしてしまったのだから、がんばるっきゃない!
 この重いザックを肩だけでは背負いきれない山こじは猫背気味になり背中全体にザックを乗
せる格好で一歩一歩、歩き始めた。 
 いっぽう三蔵は重い重いとは言いながらも経験の差か(当然です by三蔵)、足取りも軽く、
以前釣りで来た沢を案内しながら歩いて行く。   
 
 山こじ    「師匠(支障)! お・重も〜い。 なんでテントを俺一人で持つの?」

 三蔵     「鍛錬・鍛錬!!!」
 
 山こじ    (・・・・頭の中で巨人の星の主題歌が・・・・)

 ♪♪ お・も・い〜い こんだ〜ら 試練のみ〜ちいを〜♪♪
        ( 重 い )

 途中、休憩を繰り返しながら、やがて・・・・
 
 三蔵    「ヨシ! ここにテントを張ろう!」
 
    天の声だ!!   たすかったあ〜!!
 
 山こじ、がぜん元気がでて、ソソクサとザックからテントを取り出し、設営にかかった。
 なにしろ、テント設営は、自転車ツーリングの時からのお手の物だ。
 三蔵の借りてくれた初めて見るテントだがチョチョイノチョイと組み立てる。
 
 三蔵    「いらない物はテントの中に置いていくぞ。」

 早速、「いらないもの・・・いらないもの・・・」
山こじのザックからは出るわ出るわ水ものが・・・・・・

   ビール500cc×2本  
   コーラ500cc×1本、
   ウィスキーポケット瓶+缶詰・つまみ類         
   水2リットル+1リットル
   食事2食分、着替え類一式

 これだけでも6〜7キロはある(重い訳である)
さらにテント・シート類などを加えると12〜13キロは軽くなった。
ここからの山こじは俄然、水を得た魚のように足も軽くなりファイトがみなぎる。・・・・

が!・・・ しかしそれは最初だけ・・・・

なんといっても、ここまでにすでに3時間も歩きづめだ。   そういえば三蔵が橋を渡るたび
に、橋の名前をチェックしていたっけ。  西沢橋の所で「この辺でだいたい中間地点だな」
言ったが、そこからさらに1時間歩いてきた。  ということは・・・・・・・・

あとまだ1時間歩くの〜!

 山こじはトボトボと三蔵の後をついていくのがやっとであった。・・・・いちじかんご〜
 前方の道が急勾配のガレ道になり、あえいで登りつめると林道の終点だった。
そこには民宿のマイクロバスとワンボックスカーが止まっていて、運転手が時間をつぶしてい
た。

 運転手    「林道を歩いてきたのかい?」

 山こじ     「ハイ、登山のお客さんは何時頃から登り始めたんですか?」

 運転手    「5時30分頃かな〜。  帰りは13時にここで待ち合わせなんだよ。」

 山こじと三蔵はここまですでに4時間も歩き詰めである。 時刻は9時30分。

三蔵支障(師匠)


歩き始めは寒かった
かっこいい!?
          (きゃっ!)


山こじ

もうすでに汗だく

 ここまではまだまだあぷろうちなのである。水を補給してさあいよいよ登山の始まりだ。


<中ノ岐林道終点〜平ガ岳>
登山道に入るといきなりの沢渡りだ。  幸いにも簡単な橋が架かっていたので、靴を濡らすこ
とも無く無事通過できた。
 


平行感覚(運動神経?)に難がある三蔵

 沢を渡るとすぐに林の中を歩くようになり、汗だくの2人には少しは助けになる。
今回の山行の前に通過した台風のせいなのか登山道のいたるところが、水の通り道になった
らしく靴の大きさと同じくらいの溝になっている。  
 我々も使っているのだが、登山者のストックのせいで穴が開きそこに雨水が浸入し登山道が
侵食され、ひいてはそれが原因で自然破壊につながっているのか・・・・・考えさせられる。


       山こじ(Wストック使用)

三蔵(やはりストックを使用)   


 しかし、降りる時の膝への負担の軽減や登るときの足の補助を考えると、ストックは効果的な
のでなかなか捨てがたい面もある。  足を強くするのがいちばんなのだが・・・。
 小休止を繰り返しながら登っていくとやがて、周りの景色が見渡せるようになってきた。
 
そして道もさらに悪くなりひとつひとつの段差が大きくなり、両手を着いてよじ登るようになって
きた。
木の根を登山者が階段のようにして歩くから土が洗われてしまうのだろう。

11時を過ぎた頃から、マイクロバスで来た登山者らしき団体とすれ違うようになる。
もう下山か〜頂上はまだか?  



木の根の現れた登山道

<撤退〜登山口>
 額に汗して登る2人にだんだんと焦りの色がでてくる。  時刻はすでに12時を回ってしまっ
た。   通常の山行ならばすでに頂上を極めていなければならない時間だ。
 ここで三蔵が・・・・

 三蔵    「13時まで登ってダメだったらあきらめよう!」

 山こじ   「へっ・・・・・」

 三蔵    「あの雲を見ろよ! あれは雷雲だ!  もうすぐこっちに流れてくる!」

 山こじ   「了解!  師匠!」

 ここからの山こじは今回の三蔵の目的だった玉子石だけでもと、最後の力を振り絞って飛ば
しに飛ばす。   が、ついに13時になってしまった。

とうとう、届かなかった!・・・・・・・・(呆然)

 三蔵  「山こじ、平ガ岳は逃げないからまた次来れば良いさ」

 山こじ  「うううううう〜(泣)」



               悔しがる山こじと三蔵
   


                           ザビエル?
  
 とりあえず昼食にして急ぎカメラに景色を収めて、名残惜しいが下山と決定!

まだ向こうの山は明るいが・・・・



 

あっという間に雲に覆われて暗くなってきた・・・・



 我々はろくに休憩も取らずに飛ばしに飛ばし下って行く。   しかし、ここで山こじの足はとう
とう悲鳴をあげた。   いつも起こる膝痛だ。  三蔵から鎮痛剤を分けてもらうがすぐに効く
わけもなく、我々のペースはガクンと落ちてしまった。
 三蔵には申し訳ないが、気は焦るが足が進まない。

     雨が、嵐が、雷が〜

 でも膝痛が起きてない三蔵はカメラを取り出し、きのこを見つけちゃ写真を取りまくっている。
  
    


やがて沢の音が聞こえてきた頃、とうとう雨が降り出した。
 沢が増水する前にと最後の踏ん張りをかけて、朝渡った橋を通過、木陰に逃げ込む。
と、ほとんど同時に雨脚が強くなり雷も鳴り始めた。

危機一髪!

 山こじ   「さすがは師匠!撤退の判断は正解だったな〜」

 三蔵    「当然!えへん  経験が違うヨ!!えへん (えっ変?)」

 <登山口〜テン場>
 1時間ほど雨宿りをしていたが時刻はすでに4時になってしまい、今度は日没の心配が出て
きた。   こんな山奥で日が暮れたら真っ暗で、それに熊なんかが出てくるかもしれない。  
合羽を着込み、意を決して雨の中、我々は歩きはじめた。
やがて1時間も歩いた頃、やっとテントに戻ってきた。
 
 <山行初のテント泊>
 我々の為だか、偶然だか、幸いにも雨が一時的に止んでくれたので早速すぐ横の沢に行きお
湯を沸かすべく水を汲みに行く。   テントから、たったの20〜30mなのだが「あ・足が・・・、
膝が痛くて、曲がらない!!」。   山こじの膝はすでに限界に来ていて、ロボットのように歩
くのが精一杯なっている。   辛抱して歩こうと頑張るが、風邪でもないのに悪寒が走り、ガタ
ガタと震えまで出てきた。  それでもなんとか沢まで行き、水を汲もうとしたら、さっきの大雨で
沢の水は濁っていて、とても飲み水には使えそうもない。    結局、レトルトの食品を温める
ぶんだけはと、やっと一杯の水を確保してテントに戻る。   往復50mにも満たない水汲みを
4〜5分もかかってやっと戻って来た。      そのロボット歩きの一部始終を見ていた三蔵
は大笑いしている
                                          (お・オニ!)
 
   テン場で弟子の夕食準備を監督するだけの師匠



    

 ボケ面の山こじ   コークハイでくつろぐ三蔵師匠

 食事を終え、ビール・ウィスキーを飲んでくつろぎ、今日一日を三蔵と歓談しながら狭くとも楽
しいテント生活を満喫し、夜は更けていった。
雨は次第に強くなり、結局一晩中降り続いた。   金曜日の朝以来、眠っていない山こじはこ
の後、死んだ様に眠るのであった。



疲れきって眠る山こじ

 <テン場〜中ノ岐林道>
 あさァ〜・・・・とは言ってもまだ暗い。  その中を民宿からの登山者を乗せたと思われる車
の水しぶきの音がすごい。   こんな天気でも登るのか? 「中高年の登山者の事故が多い」
原因のひとつかも知れんと、三蔵とテントの中を整理しながら話す。
 朝食はシチューとパンで済まし、 テントをたたみ出発準備だ。
 雨は小康状態で、まずは合羽を着ないで歩き始める。   食料+液体燃料(命の水)のぶん
は軽くなっているのだが、あいも変らずザックが肩に食い込む。
 今日は2時間の林道歩きだけでくるまに戻れるので、景色を写真に収めながら気楽に歩いて
ゆく。

雨雲が低い




  

               今回はさすが!の三蔵師匠(いつもは・・・・・)



山こじの所以
まるで山こじきである  by三蔵




くるまをデポした雨池橋の先の空き地

 とうとう2時間の林道歩きを終え雨池橋に戻ってきた。   今回の山行は三蔵の経験にも助
けられ、無事で済んだが、あらためて山の怖さ・楽しさ・撤退の勇気を教えてもらった。
    
   ありがとう!師匠!!
 
<おたのしみ>
 くるまの人となった我々は帰り道の途中、湯沢で『駒子の湯』に立ち寄った。
 小説『雪国』の舞台になったこの地方の冬の写真にびっくりし、あらためて雪深い北国なんだ
な〜と実感させられた。

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