2005.11.13
山こじ通信vol.8
北奥千丈岳2601M、
  国師ガ岳2592M
 


    北奥千丈岳よりはるか遠く雲海の中に奥多摩大岳山を望む
                            (写真中央)
     
<アプロウチ>
 ・・・・・・と言っても今のいままで三蔵大菩薩の湯に浸かり、大菩薩は良かったな〜
と言いながら食事をしてきたばかりだ。  三蔵は明日が仕事なので、これから一人
で峠越えをして自宅までドライブだ。     山こじはというと今回の本題の金峰山
に向かうべく、登山口の大弛峠へと林道走行だ。


<大菩薩の湯〜大弛峠>
13時40分、いよいよ一人旅に出発だ。

 三蔵    「一人だから気をつけて、遭難するなよ!

 山こじ    「了解! お互い気をつけて行こうな!」

 ナビを大弛峠にセットして、いざ出発。
知らない町をあたかも知ったふうにスイスイとドライブさせてくれるナビは本当に便利
だ。  開発した人はえらい!  

 しかあ〜し   なんか変 なんか変 なんか変だぞ〜!

 あまりにも 南下の指示が長い。 ここは冷静になってよ〜く考えてみた。
峠までどんなに考えても100キロ以上も有る訳がない。 ナビのルートをよーく見て
みると・・・・・・ガッビ〜〜ン!!!
な、なんと小淵沢経由で小諸をまわり信濃川上から林道を走れというコースだった。

・・・ったく、こんな馬鹿げたコース取りがあるかよ!

                 地図が古すぎるんじゃボケ!  
                       (byなび)

 再びセットし直して牧丘を目指す。  R 140に入り交差点を左に曲がり・・・・・・・・・
やっと以前、三蔵とドライブで来た記憶のある道になった。

里山の秋を見ながらくるまを走らせて学校を過ぎるとイキナリ! 川上牧丘林道は始まる。


里山は秋真っ盛り!


 ナビのせいで時間を食ってしまったので焦っていたが、ここまで来ればもう安心。
焼山峠を過ぎ、前回ゲートが閉まっていて走れなかった所まできた。
 時刻は15時ちょうど、気温は5℃。  日没までに2時間はある。  すこし余裕ができたので
林道走行を楽しむことにした。  しかし、林道とは言っても山梨県側は全線舗装なので足
元の心配は必要なかった。   多少、幅員の狭い所はあるにせよ景色も良いし変化に富んだ
快適な道路だ。・・・・・快適な道路だった・・・・・・・

 んが、しか〜〜し。

峠の手前4キロ地点


ゆき!

 とうとう気にかけていた雪が始まった。   昨夜の奥多摩の雨は、ここでは雪になってしまう
のだ。   出発前の調べだと大菩薩より5℃位は気温が低い、最低気温は−5〜-8℃だ。  
  でも山こじのくるまは4駆だ。   タイヤはくたびれているがスロー走行すればなんとか走
れる。     ゆっくりゆっくり慎重に進む。
 15時30分、やっと峠に到着。  気温は−1℃。

 
大弛峠頂上の様子

<地獄の車中泊>
   さむいのなんのって  (どっちじゃ!)

さ、む、い〜!

 気温が低いのはまだしも、風が風が

       かぜが  とっても と〜ても
  つよお〜い!

 食事の準備をしようとストーブでお湯を沸かそうとしているのだが、風が強くて歯が立たない。
体で風よけをしてみたが寒くて身がもたない。  炎が半分風に負けて消えかかっているので
「こりゃ いかん」とノーマルガスからパワーガスに変える。  それでも2倍以上の時間がかか
って、やっと保温ボトル1本分のお湯を沸かすことができた。
 アルファ米の食事はあきらめてホットウィスキーと、つまみの缶詰だけという侘びしい夕餉とな
ってしまった。   夕餉とは言っても時刻はまだ4時過ぎ。  
 そこへ下山してきた2人組が隣のくるまに帰ってきた。
 
 山こじ    「どちらまで行かれたのですか?」

 登山者    「金峰山まで・・・」

 山こじ    「どんな状況ですか?」

 登山者    「どんなって! 風が強くて、林の中はいいけど稜線は
                             ものすごい強風だよ。」
 山こじ    「げっ・・・・・・ここが今、-2℃ですけど・・・・・」

 登山者    「ここが-2℃だと稜線は-5℃位だな。 
                          体感温度は-10℃じゃないかな〜」
 山こじ    「・・・・・・・・・・・」

 山こじ、はっきり言って
とっても びびってます。

 なにしろ2人の毛糸の帽子にはつららがぶら下がってました。(ぶ〜らり〜ん
くるまの中でホットウィスキーを飲みながら、明日はどうしようか悩みつつ時を過ごし、
5時30分頃、
寝て考えよっ!てか
と寝袋にはいりました。   がっ!

眠れません・・・・さむ〜〜い    寒・す・ぎ・る う〜!

 山こじの持っている寝袋はモンベルの10℃対応の夏用。
だから、もうひとつ夏用の封筒型の寝袋と2重にして、タイツ・裏地がフリースのズボンさらに毛
糸のソックス2枚履き・・・。     それでも寒いのです。
頭の片隅に『登山者、車中泊で凍死!と縁起でもないことがよぎる。   そんなこん
なウダウダ考えているうちに眠ってしまった。
が、11時過ぎに眼が覚める。
そりゃあそうだ。  こんな時間に眠ったことないし、それに5時間はもう寝ている。
それでも、もう1回寝ようとまた頑張る。
 が・・・・・。    やっぱり、もう眠れない。    そりゃそうだ、いつも5時間位しか睡眠時間
を取っていない山こじはもう充分眠っているのだ。    別にすることもないので窓の外をキョ
ロキョロ、ちょっと ドアを開けると ひよっえ〜〜〜!!

とっても、さぶいいいいい〜〜。
気温はマイナス5℃。

 呼気で少しは温まっていたであろう車内の空気が一瞬にして入れ替わる。(さむっ)
夜空を見上げると、星がキラキラと輝いてとってもきれいだ。  地元埼玉で見ている星より、
少しばかり大きくより輝いてみえる。   やはり空気が綺麗だからなのだろう。   その代償
といってはなんだが、とっても寒い。   
 手足を擦りながら、寒さに耐えて時の経つのを待っていると、隣のタウンエースの山こじと同
じく車中泊をしている老夫婦(失礼)がなにやら行動を始めている。 まさか、登り始めるには
ちょっとばかり早くはないか?・・・・。
 相変わらず寒さに耐えながら震えているだけの山こじを尻目に着々と準備を進めている。

 ザックを外に出し、奥さんが背負うのをご主人が介添えをして、ストックを手に軽い足取りで
出発して行ってしまった。 時刻は2時20分。     (極寒の夜道、気をつけてください) 
 3時を過ぎた頃から1台、また1台と、登山目的らしいくるまがアイスバーンと化した峠道を登
ってくる。   5時を過ぎ、しだいに肉眼でも辺りの風景が判る頃になると、頂上付近の駐車場
は満杯になり、止める場所の無いくるまが道の脇に並び始めた。
 すごい人気である。  これも林道が整備され、マイカーで2360mもの高所に気軽に来られ
るからだろう。  
 山梨県は観光収入を優先し道路を整備した(?)が、一方の長野県側は荒れたままの林道
そのものの様相をしたままだ。  観光か自然保護か意見の分かれるところだが、ここに来て
いる車の7割位は普通の乗用車である。
 標高が上がったぶん気温が下がり、麓の雨が峠では雪の可能性があるなどと予測してドライ
ブしているような輩(失礼)は少ないと思われる。  峠道なのだから、ピストンで走るようなこと
は少なく、山梨県側から登ってくれば長野県側に降りるのは当然だ。
 山梨県側だけ整備され長野県側は荒れ放題(?)では危険でさえある。  行政境というのは
判るが統一した整備が望まれる。  (田中君たのむよ〜。 ) 

 <大弛峠〜前国師岳>
 いよいよ山こじも決断を迫られた。   雪山は怖いが(ま〜こんだけ人が来るんだから何と
かなるんじゃないの?)とあま〜い考えで準備を始める。

 もちろん国師ガ岳・北奥千丈岳の方向である。   まだ吹きさらしの稜線歩きに対応できる
ような装備も経験も持ち合わせていないからだ。 ゴアのレインスーツ(つまりは合羽である)
を防風着として着込み、足にはロングスパッツ+6本爪アイゼンといういでたちである。   
  みたくれベテランの完成である(パチパチ)
 覚悟を決め7時ちょうどに出発。   峠の頂上を右に曲がるとすぐに大弛小屋がある。   
慣れないアイゼンを着けての歩行だが素人と見破られないように平然と小屋の横から取り付
いている登山道へと進む。   雪のない季節にはハイキング気分でも歩けるように木製の階
段が続いている。    夢の庭園までの散策用の為と思われる。    しかし、アイゼンをつ
けた登山靴では歩きにくい。   靴が大きい為、踏しろが足りなくなり、靴底も硬いため踏んで
いる感覚がわかりにくい。

 
   こんな道(階段?)が続く・・・手摺がほしい。

 単独なので話す相手もいない山こじはモクモクと歩く。  やがて登山道と夢の庭園経由の
道との合流点付近で降りてくる登山者と出会う。   あの真夜中の2時過ぎに出発した老夫婦
だ。  なんでも国師ガ岳からの朝の富士山を狙っての撮影行だったらいしい。   

 山こじ    「いい写真取れましたか?・・・・」

 老夫婦    「まあまあだね〜。」

 とっても楽しそうな良い顔をしていた。  2時過ぎに出発したから・・・・・・5時間あまりも山の上
で過ごした計算になる。  (すごい忍耐力だ)
 木製の階段が終わったと思ったらそこは前国師岳(2570m)だ。 7時35分到着。
たいして苦労もせず着いたくせに景色は素晴らしい。  今回は見送りにした金峰山や昨日
登ってきた林道が一望できる。  早速カメラを取り出し数枚写真を撮る。


中央奥に金峰山の五丈石が見える

 
昨日登ってきた川上牧丘林道(山梨県側)
 

<前国師岳〜北奥千丈岳>
 7時43分、いよいよここからは階段も無くなり登山道らしくなる。  林の中を行く真っ白な雪道
にアイゼンの喰い込む感じが小気味いい。 


   静かな林間の道

                                                        
                                                        
                                               
ほどなく、三繋平の分岐に出会い、右の北奥千丈岳へと向かう。


         雪がすごい三繋平(みつなぎだいら)
 アイゼンが効いているのでグイグイと小気味よく歩を進めていると、前国師岳からわずか7分
程で奥秩父最高峰の北奥千丈岳(2601m)到着した。  7時50分。

<北奥千丈岳〜国師ガ岳>
 ここからの景色は山こじには、言葉では表現できない。



山こじ奥秩父最高峰を征服  自己最高峰2601m!


北奥千丈岳より 金峰山方向
 

雲取山・大岳山など奥多摩の山々が雲海の上に浮かぶ
                                                        
                                   

    頂上独り占めの山こじ

      じゅひょ〜う その1                 じゅひょ〜う その2
  
               
じゅひょ〜う その3  



 気温は−5℃、風がものすごいので体感温度はたぶん−10℃位だと思う。
しかし、それほど辛くはなかった。  なにしろこの景色・樹氷・澄みきった青空、すべてが最高
だった。   20分程、写真を撮ったりして過ごし8時10分出発。

北奥千丈岳〜国師ガ岳>
 北奥千丈岳を出発してあっという間に三繋平に戻り、今度は左の道、国師ガ岳へとむか
う。途中、夫婦や若者2人組み等の登山者と出会う。

   頂上はあともう少しだ、     頑張れ!

と声を掛け先へと進む。  そして10分程であっけなく国師ガ岳(2592m)に到着。

 
           国師ガ岳(2592m)頂上の山こじ(後方は北奥千丈岳)   
 
 ここからの展望も素晴らしく、老夫婦が寒い中、何時間も粘ってカメラを構えていた訳がわか
った。   富士山が真正面にど〜んと構えているではないか。  残念ながら、
山こじが登り着いた8時20分では肉眼でみるのがやっとで、とても写真には収まらない。    
ここまでで、本日の登りの工程は終了なので食事にする。    どうせ風が強いと思ってストー
ブも持ってきていないのでカロリーメイトのみの食事だ。

国師ガ岳〜大弛峠>
 20分程景色を堪能して、名残惜しいが8時40分いよいよ下山にかかる。
狭い登山道で登りの人たちとすれ違う。    お互いに道をに譲ったり譲られたり元気に声を
掛け合う。    皆、好天に恵まれた絶好の登山日和に笑顔があふれている。
 やがて前国師岳に到着。    ここからは木製の階段が始まるのでいままで履いていたア
イゼンを取り外す。    木製なので、傷を付けない為には仕方が無い。
 歩き始めるとすぐに違いがわかる。   やはり、人の足で踏み固めた階段の中央付近は滑
りやすく、手摺もないので、階段の端のまだ踏み跡の無い部分を選んで歩く。   夢の庭園
付近からは団体でいかにも初心者というより季節外れのハイカーとおぼしき集団がゾロゾロと
現れてきた。   足元はさすがにズックを履いているが手袋どころか
ポケットに手を突っ込んで、滑りやすい階段を登ってくる。 

山をなめてんのか〜
            ワリャ〜!(失礼)

 あまりの団体の連続にうんざりしていた頃、やっと大弛小屋に到着。  9時20分。
 
  小屋閉め間近い大弛小屋 (冬季は屋根より高く雪に覆われる)

 腹が減って仕方が無いので、主人に何か作ってくれと頼み、山菜うどん¥600円をつくってい
ただいた。  小屋の主人といろいろと話をしたが、最近の登山ブームには呆れてしまうと言わ
れた。  『 これだけの高所に普通の乗用車で何の準備もせず、雪道なのにアイゼンも持た
ずに山に入る。 危険極まりない。』   (ごもっともです。)
 ここのご主人が昭和35年に小屋に必要な薪を拾いに獣道歩いているときに見つけ仲間に話
したところ、『素晴らしい景色が見える所・・・夢のパラダイス・・・・夢の庭園』と名付けられたら
しい。
  
 いろいろと楽しい時を過ごさせてもらいご主人に別れを告げ、9時20分くるまにもどった。   
本日の行程、全て終了。

<大弛峠〜自宅>
 峠に戻ってみると、いるわいるわ。  これから山に入ろうとしている季節外れのハイカーたち
が。  もう少し下調べしてから山に行くようにしないと山での事故は減らないと感じた。  
 10時ちょうど、峠を後に運転を開始。   朝まではアイスバーンだった所が溶けてきていて
走りやすくなってきていたが油断は禁物。  ひとたび日陰に入ると道はアイスバーンのまま
だ。   山こじもローレンジでゆっくり走行しているにもかかわらず1回だけ4輪全てが180度の
コーナーで滑ってしまった。   スピードを落としていて対向車もいないのを確認しているので
危険が無いことも手伝って、思わず笑ってしまった。  峠から4キロで雪が無くなるのを知って
いるのでこの後もスピードを落として安全走行に徹した。  


 
最後に金峰山の見えるコーナーで五丈石を見上げ来年のリベンジを誓い中央高速を使って、
13時23分無事新妻ちゃんの待つ自宅へと帰りついた。

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