第五日目(8月17日 雨・・・というより嵐!)


あ〜さ〜。でも雨ぇ〜、昨日に続きあめ〜。
5:30に目が覚めた。 そのすぐ後、旅館の人が起こしに来た。
朝食はいらないと言っておいたので、一応は出かける準備をした。 
7:00に出発しようと思っていたが雨が少し強く降っていたので雨宿りをして時間を潰す。
7:30になってもまだ小雨に変わる気配もない。 
部屋でウロウロしていると旅館の人が、とうもろこしをご馳走してくれた。 早速、朝飯代わりに
頂いた。
旅館のおばあさんは、「今日は一日ず〜とこの調子で雨が降っているんじゃないか」と言ってい
た。 こうなったら仕方が無い! 意を決っして雨の中を、ポンチョを着込み出発
した7:45。
上り坂なので、じわりじわりとペダルを踏む。 やがて昨日雨宿りの為に飛び込んだバス停
過ぎ、濡れた路面を見つめながらひたすらペダルを踏む。
途中に砂利を敷き詰めた所があり、グリップを失いそうになるが、何とか乗り越え、川浦と言う
部落についた。 
 川浦を過ぎると道が舗装されていたり工事中であったり、はたまた噂どおりの悪路が出てき
たりして変化が激しい。
ポンチョを着ているので直接雨で濡れる事はないのだが、ポンチョの中では汗だくになりTシャ
ツが濡れてしまって、雨具を着ている意味が全くない! それでも体を冷やすとまずいので我
慢して走った。  
しばらくすると、突然パッと前方の視界が開けて牛が放牧されている所に出た。 
そこで、雨の中を歩く東京から来たと言うハイカーの2人と出会った。
出会った記念にと彼らの写真のモデルになり(さらしもの?)
「それじゃ峠の頂上で!」と言って別れた。
 彼らと別れてすぐに、めちゃくちゃに深く砂利が敷いてある箇所があり、後輪が空回りして乗
っていられない。 
ハンドルを引き付けるとFサイドバッグがあるにも拘らず前輪が浮いてしまうほどだ。 
仕方なく自転車から降りて、700mくらい押してやり過ごした。
 野麦街道はいよいよ山深く入って行き、熊笹が生い茂っていたり、大小の石がゴロゴロ転が
っていて走りづらい。 
一生懸命に32×24を回しながら路面を選び、じわりじわりと進んだ。
 雨は相変わらず降り続いている。 
標高のせいか、山の中になってからは更に土砂降りと言う感じになってきて周囲の山々も霞ん
で全く見えない。
自分で選んだコースなので誰にも文句も言えない!
とにかく黙々とペダルを踏むしかない。  (とほほ・・・) 
切り通しのコーナーをいくつか抜け、崖崩れを横に見ながら走っていると・・・。
急に平ら所になり、遂に1672mの峠に着いた! 8:40。

"ああ野麦峠"と書かれている石碑を目の前にした!
But,、感激している場合ではない! 山は完全に嵐の真っ只中なのだ。
峠の"お助け小屋"が本当の意味でのお助け小屋になってしまった。
 小屋の中に入ってみると、中には嵐のために足止めを食わされた、登山者やハイカー
4〜5人いた。 そして後から車で峠に来た人達も雨宿りの為に逃げ込んできた。
車でもこの土砂降りでは視界不良で運転出来ないのだろう。
峠に到着してから、30分位経ってから、上りの途中であったハイカーの人達がずぶ濡れになっ
て小屋に到着した。 ストーブの前で彼らも濡れた衣服を着替えて、暖かいうどんを注文して体
を内と外から温めていた。
山こじは雨宿りしている間に、セーターや長袖のシャツを着込み、ジャージの裾を入れた
靴下の上にビニール袋を履き、その上から長いソックスを重ねて下山の準備をした
                      (まるで、真冬のツーリングみたいだ)
小屋で待つこと、1時間半。 ようやく小降りになってきたので、外に出てみた10:10。
まだ空模様は?・・・というより雲がすぐ手の届く頭の上にあるという感じだ。
ハイカーに人に野麦峠の碑の前で写真を撮ってもらい、いよいよ悪路の下りに挑戦だ。



途中、水が溢れ滝のようになっている箇所を渡ったり、道全体が川のようになっている箇所
あったりしてバラエティーに富んでいる。 疲れを忘れるほどの緊張の連続だったが、なかなか
楽しい下りだった。 (ほとんどヤケッパチ?)
約1時間後、やっと舗装路に出られた。 
今朝出発した旅館に11:15分に戻って来て、軒先を借りて濡れた衣類を着替えさせて貰った。
 さぁ〜、次の目的地の上高地へと出発だ!
寄合渡から、トンネルを3つ4つ潜り、梓湖に到着。 
梓湖からは奈川渡ダムの上を走り、トンネルが連続のR153をひたすら走った。 
これらのトンネルは延長が1qや2qもある物ばかりで、トンネル走行は緊張の連続だった。
走っているうちに、またも大雨になって走行不能になり、まだ工事中のトンネルに逃げ込み雨
宿りをした。 少し雨が弱まったのきっかけに急いで出発。
約10分も走ると中ノ湯の信号だ14:30。 左は安房峠へ行く道、前方は・・・

「釜トンネルだ!!」 
「これが噂の釜トンネルか〜。 ようし!上るぞ〜!!」
・・・と意気込んで上り始めたが・・・
最初のうちは顔振峠の坂道と似た上り、しかし辺りは真っ暗闇! 
照明などあるわけも無く、それでも頑張って上っていたが、あまりの長さにとうとう足を着いてし
まった。 
             ・・・真っ暗でシ〜ンとしている・・・。

「ハッ!!このままでは、車が来たら轢き殺されてしまう!!」

このトンネルは狭いうえに急勾配、さらに照明など無い、真っ暗闇の世界なのだ。
車両は交互通行をしなければ通れないほどの狭いスペースなのに、いきなり自転車が止まっ
ていたって避けてもらえる保障は無い!!
あせりつつも動かない足に鞭打ってペダルを踏む。 
 ・・・、ここでチェーンが歯飛び!!  
             32×24で歯飛び!? 
???と思いつつも、なりふりかまわずペダルを踏み続け、何とかトンネル内から脱出!!
遂に外に出られた。 
  バンザ〜イ♪♪ 生きているゾ〜〜♪♪
トンネルを抜けたすぐ横のガードレールにもたれてゼ〜ゼ〜息をした。


狭い・長い・急勾配・でこぼこ・真っ暗闇!!の素晴らしい釜トンネル

観光バスの連中が特異なものを見るように通り過ぎていった。
トンネルを過ぎても、まだ上り坂は続くが32×24では歯飛びするので42×24で漕ぐハメになっ
てしまった。 上りが終わると大正池までは下りだった。

大正池は今日の大雨で濁っており、北アルプスの山々も雨雲に隠れて全然見えない。

 



しばらく走ると案内所があり地図を貰った。 この先からは車両通行禁止となっているので、
自転車を押しながら小梨平キャンプ場まで歩き、この日はロッジに素泊まりした。
さすがは上高地!! 16時の気温が18℃。 雨が降ったせいか肌寒い。
登山のグループだろうか? 19時頃外でキャンプファイヤーをやって騒いでいた。
山こじは寒くてたまらないので、早々にシュラフに潜り込んだ。
 部屋は泊まる時に相部屋になっても構わないと言ってあったが、16畳はあるかという細長い
部屋を、たったの一人で占領できた。 当然!濡れた衣類を部屋中に広げ乾かす事にした。
本日の走行 53.1q

第六日目へ続く



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